立ち読み広告 2007.10/vol.10-No.7

1万人を集める「ご当地検定」
 先日、神楽坂を少しだけ散歩した。表通りから脇に入ると細い路地が入り組んでいる。料亭や割烹があったり、渋いバーがあったり。三味線や長唄の教室もある。神楽坂を歩くと、東京が城下町だったのをあらためて思い出す。
 神楽坂には古い町名が残っている。箪笥町、袋町、横寺町、矢来町。二十騎町や納戸町というのもある。町名の表示を読むだけでも楽しい。老舗書店の店主の話では、昔、町名変更の動きがあったとき、住民みんなで反対運動をしたのだそうだ。
 無粋な町名に変わってしまった町でも、歩いてみると坂や通りの名前などに城下町江戸の名残を発見することもある。「歴史」というと、つい奈良や京都を思い浮かべるが、もちろん東京にも長い歴史がある。
 年齢を重ねると、自分が住んでいる土地の歴史や文化に関心がわいてくる。博物館に行ってみたり、歴史の本が気になったり。若いころはそんなことなかったのに。アイデンティティーを確認したくなるからなのだろうか。

人気の江戸文化歴史検定

 数年前からご当地検定が盛んだ。その土地の歴史や文化に関する知識を測るテストである。博多っ子検定や京都・観光文化検定が嚆矢とされるが、いまや全国いたるところで検定をやっている。
 ことし2回目が行われる江戸文化歴史検定は、ご当地としては後発だけど、人気と規模においてはすごい。なにしろ昨年の第1回は受検者数1万人あまり。下は9歳から上は89歳まで参加したというのだから。しかも検定は東京都歴史文化財団江戸東京博物館を主体にした江戸文化歴史検定協会が実施する。

公式テキストに学び、合格目指す

 さて、8月24日の朝刊には、この江戸文化歴史検定と、その公式テキストの15段広告が載っている。
 ページの上3分の2は、お笑いタレント、Take2の東貴博さんの同検定体験記。この記事によると、東さんは第1回の検定で2級に合格しているのだそうだ。
 東さんといえば東八郎の息子。お笑い界のサラブレッドである。しかも生まれも育ちも父と同じ浅草。江戸っ子のシャレで検定を受けてみたが、試験勉強してみて初めて知ることも多かった、とこの紙面で語っている。
 下3分の1が公式テキストである『大江戸見聞録』と『江戸博覧強記』その他の広告である。前者は初級編で後者が上級編なのだとか。どちらも江戸文化歴史検定協会編で、出版元は小学館。
 たかがご当地検定のテキストなどとあなどってはいけない。上級編である『江戸博覧強記』の場合、410ページで定価2520円というのだから。『大江戸見聞録』で勉強した後、まだそんなに覚えなきゃいけないことがあるのか! すごい。
 その他にも『大人の歴史ドリル 書き込み 幕末維新』とか、『ビジュアルNIPPON江戸時代』といった魅力的な本のタイトルが並んでいるが、私がグッときたのは『日本ビジュアル生活史 江戸のきものと衣生活』である。じつは私、最近きものに凝っており、この夏も江戸小紋の単をあつらえたばかりなのだ。問題はきものを着て行くところがないことだが、そうだ、きもの姿で検定を受けにいくのもいいかもしれない。

8月24日 朝刊

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