CrossMediaの必然性 2007.10/vol.10-No.7

クリエイターの意識改革
 広告会社の競争力の源泉は、「クリエイティブ」である。詰まるところ、どんな広告表現をアウトプットできるかで大概の勝負は決まる。(ということになっている。)
 さて、では次世代型の広告コミュニケーションを担うクリエイターとはどういう存在であろうか。
 ひとことで言うと、従来の「クリエイティブ・プランナー」「クリエイティブ・ディレクター」ではなく、「コミュニケーション・プランナー」「コミュニケーション・ディレクター」であることだ。つまり、定型のマス広告枠の広告フォーマット上に表現することに特化した職人ではなく、ブランドと消費者の体験接点におけるコミュニケーションコンテンツを創造する者である。


 従来から鍛えられたクリエイティブ発想を駆使して、接点プランニングやメディア開発にも踏み込んでいくことが求められる。その意味では、次世代広告は新たなクリエイターの時代である。また逆にもともとクリエイティブではなかった人が、クリエイティブとして活躍してしまう時代にもなった。事実、最近のカンヌ受賞者などには、出身がクリエイティブ部門でない者も多い。その方がかえって表現形式に縛られないで発想できるのかも知れない。その意味ではクリエイターの競争環境は厳しくなったといえる。だからこそ意識改革が必要だ。
 まず、広告主のマーケティングメッセージを、ターゲットである生活者の琴線にふれるコミュニケーションコンテンツ(つまり中核になるネタを発想して)に変換し、あらゆる接点、マスメディア、店頭、Web、OOH、など様々なコミュニケーションチャネルに、そのコンテンツをどう料理して、それぞれにどんな役割をもたせるか、そしてトータルにどう作用し合うのかをデザインする能力が要る。
 そして、これが重要なのだが、「インタラクティブ」という概念を十分に理解し、インタラクティブなクリエイティブ、コミュニケーションによってブランドとターゲットの絆を醸成しようという発想ができるかどうかだ。
 まだまだWeb広告の広告表現はチープではあるが、どんなにリッチな表現でテレビCMを作っても、それはワンウエーである。広告クリエイティブが表現され、それに消費者がアクションを起こすと、さらにリアクションを返すことで、広告接触者の自己関与性は高まるし、ブランドの疑似体験などが可能だ。
 こうしたことは、一方通行のメディアでは不可能である。インタラクティブとは、「inter-active」だから、「双方向性」と言うより「双作用性」と言ったほうがいい。単に送り手と受け手という感覚ではなく、お互いに作用し合うことでより緊密なコミュニケーションが可能なはずだ。
 このような広告表現のインタラクティブ性に大きな可能性を感じ取ることができるクリエイターが次世代を担うと思う。


 まず、ネタとなるアイデアだけでなく、コミュニケーションデザインという全体像の設計と接点プランニングができること。そして、インタラクティブな広告表現の可能性に興味と挑戦する志向があること。この2つのポイントで意識改革ができるクリエイターは、次世代型コミュニケーション・プランナーとして、価値ある存在になるだろう。
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