AD FILES 2007.10/vol.10-No.7

4000アイテムへのこだわりを「ちくわ」が伝える
イオントップバリュ メディア宣伝担当 佐々木いづみ氏
 イオン、ジャスコをはじめとする全国のおよそ1400の店舗に、食品や日用雑貨、衣類など約4000ものアイテムを展開しているイオントップバリュ。これまでイオンの一部署として事業展開をしていたが、今後4年間で3倍という売り上げ目標の達成へ向けて加速するため、8月21日に独立した。
 新会社として初となる広告が8月24日読売新聞朝刊に掲載され、「聞き上手なちくわ。」のコピーとともに現れた大きなちくわが、読者の注目を集めた。

「安い」だけではなく

 読者に大きなインパクトを与えたこの紙面について、イオントップバリュのメディア宣伝担当の佐々木いづみ氏は、「私たちがお客様にしている約束の成果がこのちくわです」と語る。
 トップバリュは、「お客様の声を商品に生かす」「安全と環境に配慮した安心な商品」「必要な情報をわかりやすく表示」「お買い得価格」「お客様の満足を約束」という、「5つのこだわり」をコンセプトに開発されている。しかし、実際に消費者にイメージを聞いてみると、「安い」という回答が圧倒的に多いという。そのようなイメージもあり、「もちろん価格を抑えていることも伝えたいのですが、それ以外にどういう背景でものづくりが進んでいるか、我々がどういう考えを持ってものを作っているのかを伝えたいと思いました」と言う。
 「お客様の声を聞きながら、日々、商品は改善されています。劇的にここが変わりましたとは分かりにくいのですが、長いスパンで見ると、確実に変化が起きています」
 このちくわも消費者の声にこたえながら、多くの品質基準のクリア、アレルギーに関する情報の明記、さらに10年間で60円という4割以上の値下げを品質は落とさずに実現している。トップバリュの掲げる「こだわり」を伝えるのには、まさに最適の商品だった。
 商品の選択だけでなく、「聞き上手なちくわ。」というコピーにも、この思いが込められている。当初は「日本応援ちくわ」という案もあったという。だが、価格面での「応援」ということよりも、「お客様の声を反映している」という点にこだわった結果、「聞き上手」という表現になった。

新たなファン獲得への一歩

 ちくわはトップバリュのこだわりを伝えただけでなく、普段メーンにはならない食材を主役にした意表を突く広告表現により、これまでとは違った層からも反応が得られた。20代、30代の若い主婦層にも生活にこだわりを持って欲しい、そしてこだわりを持って商品を作っているトップバリュのファンになって欲しいという思いはあったものの、50代、60代などに比べると、これまでは広告に対する反応が弱かったという。しかし今回の広告では、「弊社としては非常にとがったタイプの広告を出すことで、今まで支持を得られにくかった年齢層からも、反応が大きかったという実感がありますね」と佐々木氏は言う。

「とがった」広告を可能にしたもの

 佐々木氏が「とがった」と表現する今回の広告。店舗により異なる商品の取り扱い状況などの理由により、これまで特定の商品をメーンに据えた広告を出すことは、非常に困難だったという。しかし新会社として独立し、より広告の役割も明確化したことで、そのことが可能となった。「今回の新会社の立ち上げにより、メディアに対する方向性もこれまでよりもはっきりしてきました。最も伝えたいメッセージを消費者のみなさんに伝えるのに、いちばん適しているのがちくわだと決めたらちくわ、取り扱っていないお店には置いてくださいというようなスタンスに持っていけるようになった」ことが、今回の「とがった」広告を可能にした一因となった。
8月17日 朝刊
 8月17日朝刊では、トップバリュのモノづくりが消費者の声を生かしていることを率直に伝える、これまでのスタイルの広告も掲載している。「伝えている内容はどちらも一緒です。どちらが良い、悪いということではなく、今回のように複数回掲載するのであれば、インパクトでひきつけるものと、今までのようにじっくりと説明するものと、両方あって良いと思います。どちらも込めたメッセージは同じです」というように、そのこだわりを伝えるための選択肢は増えても、あくまでも大切なのはメッセージという基本的な姿勢は変わらない様子がうかがえる。

社会的な背景とともに

 新会社発足後の広告掲載と同時に、トップバリュ商品購入者に抽選で商品券をプレゼントする「生活応援宣言」というキャンペーンをスタートしている。実はこのキャンペーンは、はじめから予定されていたものではなかったという。
 この夏、原油の高騰に伴う他社製品の値上がりや、食の安全を脅かすニュースが数多く流れるなど、消費者の生活を取り巻く環境は明るいものではなかった。そのような社会的な背景があるからこそ、トップバリュが消費者に約束できる企画ということで、急ぎこの時期にキャンペーンを実施した。「物価の上昇や食に対する不安の声は、お客様からダイレクトに入ってきます。そういった声が大きくなっている時期だからこそ、安全・安心をうたっている我々トップバリュからの生活応援というのは、意味を持つと考えました」と佐々木氏は言う。

「トップバリュ」の真の理解を目指し

 イオントップバリュでは、「トップバリュ セレクト」というサブブランドもスタートさせた。「お取り寄せ級を、365日。」というコピーを掲げ、素材や産地、製法にも「トップバリュ」以上にこだわっている分、通常の「トップバリュ」商品よりも価格も少々高くなっている。「品質」に対する理解が、これまで以上に求められてくる。今後、どのようにしてその理解を高めていくのだろうか。
 「これまではメディアはメディア、店舗は店舗、ウェブはウェブといったように、情報発信においてなかなか連携がとれていませんでした。現在はこれらの資産をより効果的に活用できるよう、計画を立てています。お客様との一つ一つの接点で、トップバリュ=品質といった統一したイメージを伝えなくてはなりませんね」
 そのイメージを伝えるべく、今後も、トップバリュのこだわりを端的に伝えることができる商品にスポットライトを当てることを検討しているという。4000もあるアイテムの中から、次回はどの商品がこだわりを伝えてくれるのか。すべての商品が「聞き上手」なだけに、予想は難しい。

8月24日 朝刊

(藤木)
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