ojo interview 2007.9/vol.10-No.6

伊藤 直樹氏
伊藤 直樹氏

 今、最も注目を集めるマルチな才能を発揮するプランナーの1人。YouTubeで話題をさらった「Nike Cosplay」、ビルに映した影絵とデジタル技術を結びつけた「BIG SHADOW」―― 2つのインタラクティブキャンペーンが国内外で高く評価され、今年のカンヌ国際広告祭では金を含む5つの「ライオン像」を獲得した。
 「ここ数年で、WEBやケータイをストレスなく広告に使えるようになったことは事実です。ただ、本当は人間の行動を誘発するものなら、別にデジタルにこだわりはないんです。頭で考えるだけではダメで、いつも自分のフィジカルな感覚を確かめながら企画を考えていますね」
 幼いころからスポーツ万能。4歳から習い始めた絵画や、中学で始めた写真など、マルチぶりには年季が入っている。
 「学級委員だった小学4年生の時、担任の先生から4時間もしかられ続けた経験が、僕を変えました。それまでは自分中心の悪ガキ大将だったのが、1歩引いてクラス全体を見ることを学んだんです」
 早稲田大学ではシネマ研究会で映画作りに励んだが、一方で哲学や心理学にはまり、内省的な思索にふけるようになる。
 「根がまじめだから、何でもやりだすと突き詰めちゃうんですよ。軽い神経症になって、インドを放浪したこともあります。でも、哲学の本を読んで考え出すと、社会を引いた目で見て分析しがちになるので、今は怖くて読めませんね(笑)」
 ADKに入社後は、世の中を知るためにあらゆる新聞や雑誌を読みまくったという。プロモーションからクリエイティブまで、様々なスキルを身につけて、昨年7月、34歳でメディアニュートラルを標榜するクリエイティブブティック、GTへ移籍。新たな活躍の場を得て自由自在に走り回るが、最近のめり込んでいるのは、文字通りのランニングだ。
 「先日、小布施のマラソン大会で走っていたら、80過ぎのおばあちゃんが一生懸命応援してくれて、心が洗われました。そういう気持ちを忘れず、感動にまみれながら誠実に仕事をしていきたいですね」

文/横尾一弘  写真/清水徹

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