CURRENT REPORT 2007.9/vol.10-No.6

「子育て支援」の取り組みでコンビニの客層拡大へ
 コンビニエンスストア(CVS)市場の成熟・飽和状態が指摘されて久しい。今後は出店数や売上高といった規模の拡大から質の充実に向かうとも言われている。
 株式会社ローソンでは、子育て家族を応援していくという「ハッピー子育てプロジェクト」に取り組んでおり、7月12日には子育て応援をコンセプトにしたCVS「ハッピーローソン」を横浜・山下公園にオープンした。この山下公園店では、玩具や絵本、ベビーフードなどの品ぞろえがあるほか、店内に設けられた休憩スペースには遊具まで置いてあり、子どもたちが自由に遊べるようになっている。さらには、授乳用のスカーフやミルク用のお湯を提供するなど、子育て家族にとって非常にフレンドリーなつくりとなっている。
 こうした取り組みはCVSに何をもたらすのか。同社の子育てママローソンタスクフォース リーダー 小嶋衣里氏に聞いた。


株式会社ローソン 次世代開発本部 子育てママローソンタスクフォース リーダー 小嶋衣里氏 ――山下公園店オープンに至る経緯を教えてください
 2005年のことですが、弊社の創業30周年を機に、全国のお客様を始め、加盟店のオーナーさん、店長さん、アルバイトさん、社員などから「未来のコンビニ」を考えるというテーマで論文を募集したところ、全部で1340件の応募がありました。中でも最優秀賞として選ばれたアイデアが、三重県の主婦の方からいただいた、子育てママが子ども連れでもゆっくり買い物ができ、ママ同士で情報交換できる場をCVSに求めた「子育て応援コンビニ」だったのです。
 昨年の3月にはプロジェクトチームが発足し、お子さんや子育て中のママが使いやすい店舗のレイアウトはどのようなものか、思わず来店したくなるサービスとは何かなど、検討を重ね、12月、初のコンセプトショップ「ハッピーローソン日本橋店」が誕生しました。この日本橋店については今年6月末までの半年間の期間限定営業でしたが、そこで集めた子育て家族の声やニーズ、蓄積したノウハウを導入した店舗が7月にオープンした山下公園店です。

――子育て応援コンビニの狙いは
 今までは20〜30代男性をコアなターゲットとした店舗作りをしてきたCVSですが、今後は少子高齢化といった人口動態の変化にかんがみた新たな客層を開拓する必要があります。
 その戦略の一環がハッピー子育てプロジェクトです。今までのローソンが得意としてこなかった、子育てをされているお母さんを意識した店舗作りに取り組むことで、子育て家族のニーズを顕在化させ、既存店への反映を図ると同時に、このような顧客の声を意識した店舗作りに取り組むこと自体が、既存のお客さまにも新たな価値を提供することにつながると考えています。

――オープニングキャンペーンを実施されていますが
 キャンペーンでは、シンボルキャラクターでもある「ミッフィー」のオリジナルグッズをプレゼントしていますが、同時にプレゼント1点につき1円をローソンが集め、全国母子生活支援施設協議会に寄付をしています。キャンペーンを通じて母子家庭を支援することで、本プロジェクトの「子育て支援」という趣旨がより深く伝わるのではないかと考えています。もちろんグッズのプレゼントも好評ですが、寄付活動についても社会貢献事業に取り組む企業を支持する方に好感されているようです。

――告知はどのようにされましたか
 プレゼントキャンペーンの告知はテレビCMでも放映していますが、お店のオープンも含めた子育て支援といった部分については新聞広告でしか触れていません。
 こういった内容は、企業側から一方的に発信してしまうと押し付けがましくなってしまう恐れがありますので、社会性のあるメッセージは信頼性があり、活字で事実をきちんと伝えることができる新聞でしか出さないという使い分けをしています。

――今後の展開をお聞かせ下さい
 このプロジェクトの目的はお店を作ることではないので、「ハッピーローソン」を多店舗展開する予定は現在のところありません。ここで得たノウハウをローソンの既存店舗に投入し、店舗の活性化と顧客層の拡大を図ることが目的です。すでに一部の通常店舗では、ハッピーローソンのオリジナル商品で、ママの声をもとにつくった、たくさんの荷物を入れて運べる大きなサイズのエコバッグの販売を始めているのですが、まだまだこれからですね。
 オムツを例に挙げると、置いているお店は非常に少ないんです。あまり売れる商品ではないですから、かさばるだけで棚効率が悪いんですよ。置いていないから認知されない、認知されないから置いても売れないとなってしまいます。でも、2枚で100円程度のコンパクトな商品があればどうでしょうか。こういった商品をハッピーローソンで扱ってみて導入の是非を検証していきます。
 このような取り組みが子育て家族の外出支援につながり、ゆくゆくは、「じゃあローソンに行こう」と言っていただけるようになるといいですね。


(梅木)
取材メモ
 ローソンでは、ハッピーローソン以外にも、健康志向で女性向けの「ナチュラルローソン」、価格を重視する主婦やシニアをターゲットとした生鮮コンビニ「ローソンストア100」、既存のローソンに、地域の生活者ニーズに配慮して新しい商品やサービスをプラスした「ローソンプラス」など、客層を細かくセグメントしたマルチフォーマット戦略を展開。CVSの生命線とも言える経営効率を重視した従来の店舗オペレーションとは一線を画している。
 同社マーケティングステーション広告販促企画マネージャー佐藤克正氏=写真=によると、同質化した店舗の大量出店が続く限りCVS業界は疲弊していく一方との認識から、いち早くCVSフォーマットの革新に取り組み、新たなマーケットの創出を図って、近い将来における業界での優位なポジショニングを獲得しようというものだ。
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