CrossMediaの必然性 2007.7・8/vol.10-No.4・5

コミュニケーションチャネルプランナーの育成
 広告会社でメディアプランナーと呼ばれている人たちは、マスメディアの広告到達率の指標に明るくて、主にリーチとフリークエンシーをベースとした到達効率でメディアプランの説得力を強化する作業をしている。ここでの「広告」とは基本的にマスメディアの定型の広告フォーマット上に表現されるものである。投下量、ターゲットの接触量が問題であって、コミュニケーション構造そのものを議論することはほとんどない。マス広告への投下予算が決まるとその効率的な投下方法とビークル配分などに腐心することになる。もちろん話題の発火点を創造するようなイベント的メディア開発を企画することもあるが、そうしたコンテンツまでをメディアプランナーが領域とすることはまれな方といえる。


 現状マス広告による一方通行のコミュニケーションだけで、コミュニケーション構造をつくるのは難しくなっている。消費者自身がブランドにかかわる情報発信力を持ちえたことは、広告コミュニケーションの基本構造を変えてしまった。
 また、テレビ広告だけで、ターゲットの琴線に触れ、購買行動までを促進することが難しい状況を生んでいる。こうしたなかで、次世代広告コミュニケーションを担うスキルをもった人材として、「コミュニケーションチャネルプランナー」と称されるべき人たちの養成が急務となっている。
 次世代コミュニケーションデザインの主役のひとりといえる「コミュニケーションチャネルプランナー」には従来のメディアプランナーの素養はもちろん、インターネット広告をはじめとするインタラクティブメディアにはまずもって精通していることが肝心だ。その上で、Web、店頭、OOH、クリエイティブメディアなどのあらゆる生活者接点(コミュニケーションチャネル)を材料にプランニングする必要がある。
 しかしながら現状、こうしたスキルをすべて持ち合わせている広告人はほとんどいない。マスメディア、OOHなどのリアルメディア、ネットメディア、店頭、Webはそれぞれの専門分野化している。横断的にこれらの経験値をもつことは従来の広告会社の人材育成プロセスからすれば有り得ないことだからだ。ただ、今後広告会社は意識的に、従来の分業制の壁を壊して、こうした人材育成プログラムをつくる必要がある。
 しかもインタラクティブなメディアや仕組みによって実現できる新しいコミュニケーションのあり方や可能性について、新しい感覚と認識をもつことが要求されると思う。
 コミュニケーションチャネルという概念は、従来の広告メディアの枠を超えて、生活者ないしブランドのターゲットへのあらゆる接点を意味する。そこを、それぞれの接点ごとに、それぞれの役割を持たせて、ブランドがターゲットに対して「エンゲージメント」を獲得するためにコミュニケーション構造全体を設計するということだ。
 次世代広告コミュニケーションの時代においては、花形の職種になるに違いない。


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