CrossMediaの必然性 2007.6/vol.10-No.3

次世代エージェンシーの職能とフォーメーション
 米国のインタラクティブエージェンシーの雄、NYのR/GA社には、従来の広告エージェンシーでは聞いたこともない職種(スキルセット)がある。例えば、ユニバーサルプランナー、インタラクションデザイナー、テックリードなどなど。10種類近いスキルセットは特にインタラクティブクリエイティブに強いR/GAならではのものがある。
 これらは、いずれにしても従来のエージェンシーのスキルを修正しながらつくったものではない。全く新しいインタラクティブエージェンシー文化のなかで、まっさらなところに職能開発したものである。


 このR/GAのスキルセットを参考にして、基本構造を考えると、下記の骨格になると思う。まず当然だが、顧客とインターフェイスするアカウントプランナー。これもインタラクティブという概念をしっかり熟知したスペシャリストである必要がある。自社メディアであるWebサイトを自らコントロールしているクライアントは、ある意味プロである。プロにインターフェイスするエージェンシーの人間がアマチュアであっていいはずがない。これは今の広告会社の営業にとって随分耳の痛い話であろう。またクライアントからすれば、「もっともだ」ということになる。
 今多くのトラディショナルな広告会社で起きているのは、いくら専門スタッフを強化しても、肝心の営業のスキルがついてこないことだ。従来、マス広告の例えばテレビや新聞のスペースどりの仕組みや料金体系が分からないで売っている広告会社の営業がいるだろうか。ところがインタラクティブ領域では、これが起こっていて、専門スタッフに丸投げされる。クライアントにフラストレーションがたまらないはずがない。


 肝心な営業のスキルは当然だが、そのバックヤードは3人〜4人のユニットが一緒になってプランを作り上げるイメージだ。その中心はユニバーサルプランナーとR/GA社が呼ぶキーマン。クリエイティブとメディア、チャネルに精通し、コミュニケーションコンテンツを多彩な引き出しから発想できる人材となる。これにいわゆる「チャネルプランナー」つまりメディアだけでなく、Webや店頭、OOHなどあらゆる接点を設計できる人材。「i-クリエイティブ」は、まさにインタラクティブの概念を理解し、広告フォーマットありきではなく、コミュニケーションコンテンツ起点で、クリエイティブでき、自らメディア開発も辞さない人材。そして、Webのログ解析から解決策を読み出したり、効果の最適化に関するデータ管理を行える「データテクロノジスト」の陣容だ。
 この4人は分業のイメージではなく、それぞれの領域をオーバーラップして、アイデアを投げ合ってプランニングする。インタラクティブなコミュニケーションは今始まったばかりである。こうした職能やフォーメーションで分業が確立することは当分ないだろう。

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