ojo interview 2007.5/vol.10-No.2

中村 至男氏
中村 至男氏

 大ヒットしたゲームソフト「I.Q」を皮切りに、携帯サイト「うごく─ID」、おもちゃ「ポンチキ」、NHKみんなのうた「テトペッテンソン」など、慶応大・東京芸大で教授を務める佐藤雅彦氏との仕事は、すでに10年も続いている。
 「佐藤さんとの仕事は分業や足し算ではなく、いつもそこから広がりが生まれて掛け算になるから不思議です。二人で話していて理想の形を見つけた時は、お互いに表面上は穏やかでも、すごくテンションの高い状態になりますね」
 昨秋、4年に及ぶ月刊誌の連載「勝手に広告」を1冊の本にまとめた。なじみのあるロゴマークやパッケージを使った実験的なビジュアルには、ナンセンスで刺激的なアイデアがあふれている。
 「そもそもこれは広告ではなく、新しい世界観を、佐藤さんとともに自由に考えた表現活動です。本当にやりたいと思うものだけを追求しましたが、まだどこにも出す場所を見つけられないアイデアが、僕のノートには山のように残っています」
 ほぼ同時期に「明和電機の広告デザイン」も出版した。既存のデザイン手法になじめず、「さえなかった」ソニー・ミュージックエンタテインメント勤務時代から13年も手掛けているアートユニットのグラフィックワークについて、自らの言葉で丁寧に綴った1冊だ。
 「振り返ってみると、うまく説明できない仕事もあって、自分はそういう不可解な表現も好きなんだということを再認識しました。10年後、20年後に見ても同じ気持ちが立ち上がるような普遍的なデザインを、いつか、一つでも作れたらいいと思っています」
 自己模倣すら許さず、ストイックに新しい表現を追い求めるハードな日々を送っているが、今年40歳になるとは思えない若々しさを保つ秘訣は、毎朝欠かさず飲む青汁と、フォワードとして活躍する休日のサッカーにもあるのだろう。
 「僕の健康志向が過剰なのは、思考も技術も行動も、すべて体力の上に成り立っていると思ってるからなんですよね」

文/横尾一弘  写真/小宮雅博

もどる