AD FILES 2007.5/vol.10-No.2

「首都圏を一枚で」の浸透めざし 段階を追ってメッセージを発信
東日本旅客鉄道株式会社鉄道事業本部 営業部 宣伝グループ 副課長塩原 敬氏
 非接触ICカードSuicaを使った出改札システムをJR東日本が導入したのは2001年11月。以来、利用者から待望されていた私鉄等での利用が、3月18日から実現した。首都圏の私鉄・地下鉄・バス事業者によるPASMOのサービス開始と同時に相互利用が可能となり、首都圏交通網でのシームレスな乗り継ぎが可能になったのだ。
 JR東日本ではサービスの開始にあわせて、2月22日から読売新聞朝刊に全15段広告を4回にわたって掲載した。

利便性向上を明確にアピール

 「SuicaとPASMOの相互利用の開始は、首都圏の鉄道利用者の利便性が飛躍的に高まるという大きなニュースですので、インパクトを持って発信したいと考えました」と語るのは、鉄道事業本部 営業部 宣伝グループ副課長の塩原敬氏。
 当初からPASMOとの間で、それぞれにサービス開始を告知する新聞広告を当日朝刊に出稿する予定はあったが、「それに加えてJR東日本として相互利用の利便性、Suicaの機能性をアピールするためにシリーズでの展開としました」。
 相互利用の開始以降は、既にSuicaを持っていれば、特に手続きなくそのままPASMOエリアでも使うことができる。
 「それでも、お客さまからは『相互利用でSuicaはどうなるの?』といったお問い合わせもいただいていました。そういったことも踏まえ、お持ちのSuicaがそのまま他の交通機関で使えるようになる、ということをしっかり、わかりやすく伝えるという点に留意しました」
 第一弾の2月22日付朝刊では相互利用の開始を大きく告知、続く3月6日付朝刊はQ&A形式で読ませるものとした。生活者のSuicaに対する関心は1か月ぐらい前から盛り上がり始め、サービス開始が近づくにつれて理解も進み、さらに詳しい情報を求めるようになると考え、まずは最も重要なことをシンプルに伝え、次いで具体的な疑問・質問を踏まえた、より細かい内容としたのだ。
 サービス開始当日の18日付朝刊では「今日から」というニュース性を重視。同日に掲載されたPASMOの広告とクリエイティブ面で連携をとり、相乗効果を狙った。
 「広告内容は3回とも一緒ですが、タイミングを計算し、訴求するポイントに強弱をつけたクリエイティブとし、理解の定着を図りました」
 ここまでは主として相互利用の利便性をうたってきたが、サービス開始から1週間後の3月25日付朝刊では、電車での利用にとどまらないSuicaのサービスに焦点をあてている。
 「大きなトラブルもなくシステムが稼働したので、お客さまをはじめ関係のみなさまに対しての感謝の気持ちを表すと同時に、相互利用だけではなく駅ナカや街ナカ、ネットでのショッピングや入退館システムなど、様々な生活シーンでお使いいただけること、Suicaが進化し続けていることをアピールしました」と塩原氏は話す。

雑報広告でカウントダウンも

 今回の広告ターゲットは首都圏の電車利用者というきわめて広い層だったため、マス媒体からOOH(屋外広告)まであらゆる媒体を活用した大規模なキャンペーンを展開した。
 「今回のコミュニケーションの目的は、究極的には相互利用の開始、というシンプルなメッセージですが、幅広い層のお客さまに理解していただくため、ターゲットごとに動線をイメージし、確実に接触が図れる媒体を選定しました」
 新聞広告でも、シリーズ広告ではシンボルカラーの緑を朝刊紙面に大きく使って印象付け、同時に夕刊雑報の小スペースを利用しサービス開始までのカウントダウン広告を掲載。並行してQRコードを活用したモバイルSuicaキャンペーンを実施。モバイルSuicaの入会にあたっては申込画面のダウンロードや必要事項の入力に一手間かかることから、時間に余裕のある週末の朝刊を選択した。
 「一つの媒体でも様々な展開が可能な点が新聞広告の魅力です」
 PASMOと合わせて20万枚以上発行した記念カードは、発売当日4時間で完売。その後もSuicaの1日あたりの発売枚数はサービス開始前の2倍のペースで推移しており、「ひとまず、相互利用についてのご理解はいただけたと思っています」。

ますます進化するSuica

 今回の広告にも登場しているSuicaのキャラクターでおなじみのペンギンだが、南極から首都圏にやってきたものの、当初は右も左もわからなかったらしい。
 「でも、Suicaを手にしてからは都会をスイスイ遊泳できるようになったんですよ」
 東京近郊区間の424駅でのサービスから始まったSuicaだが、5年半近くの間に首都圏・仙台・新潟などへとエリアを拡大、合わせて約5倍の※2127駅で利用可能となっている。この間、電子マネーやモバイルサービスの開始など、多くの機能が付加された。
 さらに、この6月からはSuicaポイントサービス、それ以降もモバイルSuicaによる新幹線指定席乗車サービス、利用可能エリアの拡大などが予定され、更なる利便性の向上が見込まれる。
 「生活に欠かせない存在を目指して、今後ともいろいろなサービスの実現をめざします」
 我々の都市生活もSuicaを使いこなせば、ペンギンのように、より快適なものになりそうだ。

3月6日 2月22日
3月25 3月18

(梅木)
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