立ち読み広告 2007.4/vol.10-No.1

美しき日本経済の牽引役。

 子どもが生まれたという知らせが赤の他人にとってもうれしいように、雑誌が創刊されると気持ちが華やぐ。3月7日の朝刊を開いた私は、とても幸福な気分になった。
 第5面には『marisol(マリソル)』(集英社)の、第8面には『GRACE(グレース)』(世界文化社)の全面広告がある。しかも『marisol』のページは4色カラーだ。
 この日、この2誌に加えて『AneCan(アネキャン)』(小学館)も創刊。大きくくくれば3誌とも女性誌で、同じジャンルの雑誌が同じ日に3誌も創刊されるのは珍しい。1983年の5月23日に『ViVi(ヴィヴィ)』(講談社)、『LEE(リー)』(集英社)、『Free(フリー)』(平凡社)が同時創刊して以来である。残念ながら、『Free』は休刊してしまったが。
 なかでも『marisol』と『GRACE』が注目される。というのも、この2誌は40代の女性をメーンターゲットにしているのだ(正確に言うと『marisol』は30代後半から40代ということらしいけど)。『AneCan』は『Can Cam』のお姉さん版で、25歳からが対象読者である。

二つの40代向け女性雑誌

 両広告をじっくり読むと、同じ40代女性向け雑誌でも、『marisol』と『GRACE』ではずいぶん違うのが分かる。
 『marisol』のキャッチコピーは「ワーキングビューティーのための新ファッション誌」。自らをファッション誌と位置づけて、ファッション情報を中心にしていることに加え、「ワーキングビューティーのため」とうたったところが素晴らしい。ただの女性じゃない、働く女性、仕事をする女性、しかも美しい女性なのだ、という意気込みが伝わってくるようだ。
 メーンの特集は「仕事服の新スタンダード」で、サブタイトルには「モードでもなく、コンサバでもない」とある。さりげなく既存のファッション誌との違いを主張している。
 一方の『GRACE』のキャッチコピーは「優雅な美しさ」。特集は「優雅にスカートを着こなす」である。働く女性を狙った『marisol』とは違って、お金にも時間にも余裕のある、いわゆる富裕層の女性が対象と思われる。他の記事を眺めると、ファッション誌というよりもライフスタイル誌という印象だ。
 表紙は『marisol』の川原亜矢子に対して、『GRACE』は鈴木京香。美しい!
 ふだん私は、自由が丘駅前の洋菓子店2階にある喫茶店で、編集者と打ち合わせをする。昼下がりのそこは、圧倒的に女性客が多い。中心は40代、50代だ。みなさんケーキと紅茶を楽しみながら、子どものことや習い事について語らってらっしゃる。その表情は明るい。彼女たちが日本経済と消費の牽引役となっているのを感じる。
 いまの40代女性はエネルギッシュで美しい。一緒に仕事をする編集者を見ても、ジムで汗を流す人を見ても、カフェでおしゃべりする人を見ても、そう実感する。年齢八掛け説というのがあるが、女性に関しては七掛けぐらいかもしれない。このジャンルには『STORY』(光文社)、『Precious』(小学館)といった先行誌がある。競争が活発になり、どのような違いを見せていくのか、これからが楽しみだ。

2月11日 朝刊
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