新聞広告の色彩学 2007.4/vol.10-No.1

 春は彩り楽しい
2月14日朝刊 明治製菓 2月10日朝刊 ソニー 2月20日夕刊 伊勢丹 2月26日朝刊 三越
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 2月のバレンタイン。チョコレートはいくつ頂けましたでしょうか? 弥生3月春到来。今年、東京は降雪なしに等しい冬だった。雨露霜雪は天から下される潤いだ。すると本年は早々その一つを欠いたから、日本の今年は潤い不足だ。今以上にトゲトゲしたらどうしよう。

 そこでニコニコにっこり、人生はラブストーリーの願いを込めて明治製菓Sweet Lifeの広告には春ドッサリの黄蝶紺蝶花さまざまの彩りに、花嫁とお嬢さんはピンクと赤色。みんな白地と違う温かさの淡黄色のバックの色でシンフォニー「春」を奏でる。

 ソニーはDVDに「かわいい赤ちゃん」を残せるハイビジョン“ハンディカム”だ。610万画素の高画質、手ぶれなし忠実豊富な色彩の映像、撮る見るカンタンDVD記録までの進化をさせたのは愛。愛を描き出すのは空中に舞う赤いリボンだ。

 春はサクラ、と伊勢丹は美女に語らせる。春のシンボル桜は昔から花見を誘う花だったが、農作時期を教える道しるべという実用性ももっていた。同じ時期に咲くコブシもサクラと呼ばれたが、ピンクの色によって桜がその名を独占した。続いて目には青葉の季節が来る。夏過ぎて秋は紅葉が楽しい。冬は雪白が多くの地を覆う。色は強い。季節の印だ。

 三越の広告は白い色で生きている。ひねもすのたりの春の海辺で遊ぶこの写真。そのうっすらした温かい色をセピアと呼ぶ。セピアは生きているイカから採られる墨の色だ。だから生命のロマンが込められている。春の海にもロマンがある。遠い島から流れ寄る椰子の実も、きっと春の海がふさわしい。

 ところで、本号をもちまして私の執筆を終了いたします。広告批評など縁遠い身でしたが、担当してからいつの間にか10年が過ぎ、よい勉強をしつつ楽しみました。無責任な放言はしないつもりでおりましたが、失礼ありましたらこの場をかりてお詫びいたします。

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