新・広告人論 2007.4/vol.10-No.1

大変革への対応
 前シリーズ「クロスメディアの必然性」では、マーケティングコミュニケーションの世界に大きな変革の波が押し寄せていること、また広告会社はそのビジネスモデルも含め急速な変化を迫られていることに触れた。
 今シリーズでは、次世代の広告ビジネスが提供するサービスのあり方と、それを担うメディアマン、アドマンのスキルや求められる資質について考えてみたい。
 次世代コミュニケーションデザインにおける「新・広告人」の職能イメージと、その育成の方向性が今回のテーマである。


 さて、前シリーズの最終章で「クロスメディアプランナーの育成」をテーマにした際、あえて広告会社の「昔のスキル、昔の成功体験」はかえってマイナスに働くと書いた。広告会社のビジネスモデルは、新聞広告のスペースの扱いから始まり、4マス広告のスペースバイイングのために、提供サービスの領域を拡大してきた。スペースを買ってもらうために、コピーを書き、CMを作り、マーケティング調査をして表現制作や媒体計画の前提をつくってきた。付加価値サービスの提供は、いずれにしてもマス広告のメディア枠を買ってもらい、そのマージンを得るために行われてきた。
 ところが、インターネットを中心としたメディア変革、マーケティング変革の大波が、こうした基本ビジネス構造の限界を我々に認識させつつある。
 広告主企業はWebという自社メディアを獲得し、消費者も消費情報を発信するメディア化している。広告会社は、消費行動への大きな影響力を独占してきたマスメディアの、その独占状況ゆえに成立した広告ビジネスの枠組みを断念しなければならない。テレビ局も、放送事業収入の伸びに限界を感じ、放送外収入拡大の道を模索している。そうした状況下にあって、広告会社が自らの業態に危機感を感じないとしたら、おそらく10年後の存在は許されないだろう。


 広告業界はいつのまにか経営陣の年齢が非常に高い業界になってしまった。また人口動態でいうと40歳前後がボリュームゾーンで、働きざかりの30歳前後がネットバブル期にIT業界に持っていかれて実に希薄な年代になっている。この結果、80年代後半のバブル期までの広告黄金期を知っている50代以降が、過去のスキル、過去の成功体験をもってマネジメントを行い、次世代コミュニケーションを理解しうる30前後の層が希薄なため現場作業に追われて新しいビジネス発想をする余裕すらないという状況にある。インターネットやモバイルによるコミュニケーションの実際を理解できるのは、インターネット第一世代の40代後半までであり、還暦を過ぎた広告人に次世代のコミュニケーションビジネスの新たなモデルを設計することは、まず不可能だと言っていい。
 そんな中で、広告業の現場を支えている20代、30代の広告マンはどうしていったら良いか。自分たちのスキルを次世代対応型に早期に武装し直す必要性がある。所属する広告会社が次世代への対応ができなくて市場から退室しても、サービス業である広告の本質は人材そのものであることは変わらないので、人についているスキルがモノを言い、どこででも通用する。
 広告マンの自己防衛は、「新・広告人」に早めに変身しておくこと以外にはない。
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