ojo interview 2007.4/vol.10-No.1

吉田 稔氏
吉田 稔氏
写真右はクリエイティブディレクターの鎌倉生光氏

 「邪魔者になってしまった広告を、ほかのエンターテインメントにも負けない人気者にすること」を旗印に、気鋭のクリエイティブ集団の陣頭指揮を執って3年。大学時代にはプロサッカー選手を目指して渡英し、飛び込みで入団テストを受けて回ったほどの行動力の持ち主だ。
 カンヌ国際広告祭で昨年、「バーコードをデザインする」という型破りなアイデアが高く評価されて「チタニウムライオン」を受賞。その発端は2003年の「新聞広告を広告する」コンテスト(日本新聞協会)の優秀賞受賞作だった。「差別化できなくなった商品の違いをきちんと説明できる新聞広告」の特性を逆説的に表現するため、無個性なバーコードを全面に並べて斬新な作品に仕立てた。
 「僕は、人の気持ちを強烈に動かすものが広告だと定義しています。僕が小さいころはもっと面白かった広告ですが、最近は商業メッセージを一方的に伝えるだけで、消費者をバカにしたものが多すぎます。クリエイターの感度のいいアンテナは、もっと人々の問題意識をあぶり出すために使うべきだと思うんです」
 昨年11月、クリエイティブディレクターの鎌倉生光氏の発案で、「アイデアという商品」に料金を明示した通販サイト「オシウリ」を立ち上げた。バーコードをデザインする仕事が、多くのブログで話題になって依頼主を増やしていった経験から、「これは面白い!ぜひ見たい!」という消費者のパワーが、広告主を動かすことを確信したという。
 「やっぱり心から感動したことは、誰かに伝えたくなりますよね。WEBの媒体特性は、消費者自らが情報を発信するということです。メディアを問わず、人が話題にしたくなる広告が作れれば、それはWEB広告にもなっているんです」
 オフィスの玄関先に置かれたチタニウムライオン像には、鋲が打たれたパンク風の首輪が巻かれ、カンヌの授賞式はフットサルの試合を優先して欠席した。
 「『アンチテーゼの集団』と評されることもあって、それは強みだと思いますね」

文/横尾一弘  写真/清水徹

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