特集 2006.12/vol.9-No.9

インターネットの現在、広告のこれから

マーケティングツールとしての検索連動型広告

 検索キーワードに関連したテキスト広告が検索結果の上部や右側に表示される「検索連動型広告」。最近の広告キャンペーンのサイトへの誘導にも盛んに使われるようになった。この仕組みを世界で最初に開発したのがオーバーチュアだ。検索連動型広告とは、どのようなサービスなのだろうか。


――会社の成り立ちからお聞かせください。
ヤフー・ジャパンで「検索連動型広告」をキーワードに検索した画面(青い点線部分が検索連動型広告)

戸田
 検索に連動して表示される広告には、リスティング広告、キーワードマッチ広告などさまざまな呼び方がありますが、「検索連動型広告」が最も一般的だと思います。
 オーバーチュアは、この仕組みを考え出したビル・グロスによって97年に米国ロサンゼルスに設立された会社です。つまり、検索連動型広告はオーバーチュアが世界に先駆けて始めたもので、ビジネスモデルの特許も私たちが保有しています。当初はGoTo.Comという社名でしたが、社名を01年にオーバーチュア・サービシズに変更しました。検索連動型広告の当社におけるサービス名は「スポンサードサーチ」です。
 日本法人は02年に設立されています。03年に米国のヤフーがオーバーチュアを買収して、私どもは今、米国のYahoo! Inc.の傘下になっていますが、ヤフー・ジャパンとは資本関係はありません。ただ、同じヤフーグループということもあり、ヤフー・ジャパンの検索連動型広告では、オーバーチュアのみ現在表示されるようになっています。その辺がちょっとわかりづらいと思うんですね。
 実は、私たちの提携パートナーサイトはヤフー・ジャパンだけではなくて、エキサイト、msn、ミクシィなど多くのパートナーを有しており、今後も拡大していく予定です。

配信プラットフォーム


――「広告型検索エンジン」とも言われていますが、オーバーチュアは何の会社と理解すればいいのでしょうか。
戸田 検索連動型広告のシステム自体、仕組み自体を提供している会社ですね。
河田 広告の配信プラットフォームという理解でいいと思います。広告主がいて、インターネットユーザーがいて、それを結びつけるのが私たちです。そして、その場を提供してくれているのが提携パートナーサイトです。また、私たちと広告主との間には代理店が入る場合もある、という感じですね。

――広告掲載は、直接申し込むこともできる?
戸田 代理店を使わずオンラインで直接申し込むこともできます。ただ、キーワード設定などのサポートは代理店がやっていますから、それはご自身でやることになります。

――個人でも申し込める?
戸田 はい、できます。現在も多くの個人の方にご利用いただいています。よく言われるのは、検索連動型広告によって新たな広告主の層が出現したことです。個人の副業でもプロモーション活動ができる。ただ、米国での検索連動型広告のシェアは4割に達していますが、日本はまだそこまで行っていません。一般の商店がDMを使う米国ではなじみやすい面もあると思います。

オーバーチュアのビジネスモデル


パフォーマンスに対する課金

――検索連動型広告はクリック課金で、1クリック最低9円と聞いていますが。
戸田 バナー広告とは単価が違いますね。バナー広告は人気のあるサイトだと数百万円しますから、個人商店ではなかなか出せる金額ではない。しかも、検索連動型広告は、クリックされない限り課金はされませんし、金額の上限も設定できます。設定金額を使い切ったら表示されなくなる。

――検索連動型広告の上位に表示されるのは、入札(オークション)でそのキーワードにより高い価格をつけた人という仕組みですね。
河田 逆に言えば、ワンクリックに払える額を逆算できるということです。きちんと効果計測すれば、損益分岐点は明確に見えるので、価格は適切なところにおのずから落ち着くと思います。
戸田 一般の広告やチラシ、バナー広告もそうですが、必ずしも見た人がその商品やサービスに関心があるとは限らないわけです。検索連動型広告をクリックする人は、それに興味があるからクリックする。そこが違いますね。

――バナー広告のクリック課金との違いは?
河田 基本的にはバナー広告の料金はインプレッションだと思いますが、クリック課金もないわけではありません。検索連動型広告を「P4P(ペイ・フォー・パフォーマンス)」と呼ぶことがあります。単にクリックに対してお金を払うのは、「PPC(ペイ・パー・クリック)」です。バナー広告のようにたまたま表示されているから興味本位でクリックしたということではなく、あらかじめ検索という行為によって絞り込まれた人をサイトに呼び込むのが検索連動型広告です。つまり、非常に高いトラフィック効果(注)が、広告主サイトに向かって発生する。その「パフォーマンスに対してお金をいただく」というのが、検索連動型広告の考え方です。

注)トラフィック効果:広告主が集客したいページやサイトへ誘導させる効果のこと。トラフィックは、元々はネットワーク上を移動する音声や文書、画像などのデジタルデータやその情報量の意味。


マーケティングツールとして


――キーワードですが、1つのサイトに5万語設定しているという話も聞きます。
河田 業種業態によりますね。旅行やEC系のサイトは、どうしても多くなります。旅行なら、世界中の地名を入れる。国名だけでなく、そこの名所も入れていく。漢字やひらがななどの表記違い、打ち間違いも考慮してキーワードを設定していくわけです。

―――キーワードの設定は、何語でも料金とは関係ない?
戸田 あくまでクリックに対する課金ですから。ただ、代理店がやればフィーが発生します。リストをつくる労力も大変ですし、そういうノウハウは、やはり経験のある代理店が蓄積しています。
河田 それから検索連動型広告は、出稿して効果を計測して、悪ければ広告内容を差し替えることも比較的容易にできます。マス広告のクリエイティブは、長い時間と最先端の人たちのクリエイティビティーを使ってつくられていますが、出したら差し替えはなかなか利かない。逆に検索連動型広告は柔軟な運用が可能であり、PDCAサイクル(Plan, Do, Check, Action )を回していくことで、効果が向上していくものです。効果計測も非常に精密にできる。広告というよりマーケティングツールに近いものです。
 キーワードのパフォーマンスを見て差し替えたり、サイトに来た人が、どういう行動を取ったかを見てサイト自体を改善する、というようなことを細かく見ていくんです。出しっぱなしでは効果は上がっていかないんですね。
戸田 それだけ、スピードと手間の求められる広告でもあるということです。
 ですから、マス広告を扱ってきた代理店の扱いは、それほど多くないんですね。新興の代理店の方が積極的に取り組んでいる。広告の新しい業界ができつつあると思います。

―――最近、サイト誘導を目的とした広告キャンペーンに検索連動型広告が使われるようになりましたが。
河田 昨年ごろから出てきた傾向だと思いますね。当初はマス広告の競合と見られがちでしたが、ウェブサイトと他のメディアのつなぎが1番しやすいのが検索連動型広告だと思います。検索連動型広告には、精密な効果計測ができるマーケティングツールでもあるという違った特性がある。そういう特性を生かしながら、従来の広告とうまく組み合わせて使うことが重要だと思うんですね。
戸田 もう1つは、検索連動型広告を使えば必ずうまくいくわけではないということです。そこは従来のマーケティングとなんら変わらない。ただ、結果が得られなければ効果を確かめながら改善していける。それが、検索型連動広告のよさだと思います。

overture TOPページ
overture TOPページ

 



ヤフーとは、どういうメディアか
ヤフー・ジャパン 広告本部長 武藤芳彦氏→


ウェブの現状が企業に問うもの
ネットレイティングス 代表取締役社長 萩原雅之氏→
もどる