特集 2006.5/vol.9-No.2

本を動かす。
書店からニュースを発信する

 一昨年9月、日本屈指のビジネス街にオープンした大型書店「丸善・丸の内本店」の1階レジ前には、新聞書評の常設コーナーがある。書店からの情報発信が重要だと語る斎藤博司店長に店頭活性化のための取り組みを聞いた。

 オープンして1年半がたちましたが、当初予想した以上に多くのお客様にご来店いただいています。平日はビジネスマンが中心ですが、土日はガラッと変わり、家族連れやシニアの方など幅広いお客様にお越しいただいています。
 出版業界は厳しい状況ですから、やはり書店もいろいろと工夫しなくてはなりません。例えば、百貨店並みに丁寧な接客を心がけたり、約20人のブックアドバイザーが、専門ジャンルごとにお客様と対面で本をお勧めできるような仕組みも作っています。
 また、少しグレードの高い居心地のいい空間を楽しんでいただくために、「ブックミュージアム」をコンセプトにした店作りをしました。自分の欲しい本が最初からわかっている場合でも、本屋でそれだけを見て買っていく人はあまりいません。実はちょっと他の本も見て楽しんでいると思うんです。いわゆる本好きには、書店にいること自体が楽しいとおっしゃる方が多いですよね。お客様の滞在時間が長いのも特徴です。

新聞書評を店頭でも積極活用

 エントランスのある1階はビジネス書が中心ですが、話題の新刊はジャンルにかかわらず平積みにしています。その近くに書評があれば効果的だということで、レジ横の一等地に全国4紙の書評面を掲示して、紹介された書籍を並べています。新聞には幅広いジャンルの書評が掲載されますし、やはりそれなりに効果があると思います。
 私も一読者として新聞を見ると、やはり書評面ではいい本を紹介していると思いますね。これだけ新しい出版物が発行される中では、話題の新刊に注目が集まりがちですが、それだけに偏ってもいけないと思います。新聞の書評欄に取り上げられるような良書に力を入れて売っていくのは、われわれにとっても一つの楽しみですね。

書店員の情報収集も大切

 3年前から始まった「本屋大賞」という書店員が売りたい本を選ぶイベントがありますが、書店側からの情報発信は非常に大切だと思っています。新聞、テレビ、情報誌などの取材には積極的に協力して、できるだけニュースを発信するように心がけています。
 各フロアには「ミュージアムゾーン」という新刊情報などの展示スペースを設けたほか、お客様の反応がいい本や話題になりそうな本をさらに広げていくために、イベントや棚作りなどを通じて、こちらから「売る仕掛け」を作っています。やはりいい本をきちんと売りたいという気持ちがありますから、POPにも力を入れています。すごくいいと思った本に力を入れれば、やっぱり売れますね。
 例を挙げれば、『ブルー・オーシャン戦略(競争のない世界を創造する)』(ランダムハウス講談社)という、わりと難しいビジネス書があります。丸の内周辺には非常に感度の高い方が多いですから、やはり一歩先を行ったような本が売れるんですね。
 そういう感度の高いお客様のニーズに応えるためには、書店員も世の中の動きを見ながら、情報収集に努めなければなりません。お客様の普段の行動や出版社からの情報、メディアの情報などから、お客様が読みたい本、売れる本の傾向を日々探っています。また、書籍の広告も情報としては非常に大きいと思います。日曜日の朝に落ち着いてじっくり読む読書面に対して、出版広告は日々どんなものが出たかということが、パッとチェックできますからね。
1階レジ前に設けられた新聞の書評コーナー
1階レジ前に設けられた新聞の書評コーナー
 当店では、常時120万冊の品ぞろえをしていますが、大切なことは、あらゆる本をそろえていることではなくて、お客様が欲しい本がきちんと置いてあることなのです。 (談)





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