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米国新聞協会(NAA)によると、2005年(1〜12月)のアメリカにおける新聞広告費は494億ドル(1ドル=117円換算で5兆7,798億円)と、対前年で2.5%のプラスとなった。
ただし、この数字には新聞各社が持つオンライン広告費も含まれている。オンライン単体の広告費は20億ドル(同2,340億円)と新聞広告費全体の約4%を占めるに過ぎないが、対前年比では31.5%のプラスと驚異的な伸びを示している。
一方、新聞単体では対前年1.5%プラスの474億ドル(同5兆5,458億円)となった。
このように新聞社のオンライン広告収入は大幅に伸びており、NAAによると2006年も同じ傾向が続くという。
ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルといった主要紙が昨年相次いで有力サイトを買収したのも、新聞広告による売り上げが低成長を続ける中、オンライン広告にそれを補完させることを期待しているのは間違いないだろう。
だが、前述の通りオンライン広告は新聞広告費全体のわずか数%を占めているに過ぎず、新聞業界全体としても決して新聞をおろそかにする訳にはいかない。
そんな中、NAAが3月20日から広告業界の関係者らを対象に、新聞が広告媒体としても優れていることを再発見させるのを目的としたキャンペーンを立ち上げ、広告業界誌や、NAAの会員となっている新聞各紙に広告展開を始めた。
アメリカでは毎年5月から6月にかけて「アップフロント」と呼ばれるテレビCM枠の先行販売が行われる。
NAAがこの時期にキャンペーンを立ち上げたのは、デジタルビデオレコーダー(DVR)の普及によるCM飛ばし問題を抱えるテレビCMに対して、「アップフロント」が始まる前に、新聞広告の優位性を広告業界関係者に伝えようとしたとも考えられる。
また、これはテレビという競合するメディアを十分意識したものでもあるだろう。
NAAが公表しているアメリカ国民の消費動向に関する調査によると、「調査対象者の46%が広告による情報を新聞から摂取することを好むと回答したのに対し、テレビはわずか10%」という結果も出ており、一般消費者たちにとって新聞広告がわずらわしいものではなく、むしろ、いかに情報源として活用されているかが分かる。
掲載された広告のコピーにも、「新聞広告は邪魔ものではありません」とあるのも、まさしく他メディアと比較した上での新聞広告の優位性をアピールしようとしているのがうかがえる。
このキャンペーンは広告業界誌のウェブサイト上でも展開されている。広告をクリックするとNAAの特設サイトへリンクするようになっており、そこには上記で紹介したようなデータやプレゼンテーションシートが多数収録されており、広告会社のメディアプランナーやバイヤーたちがそのまま広告主へのプレゼンテーションに活用出来る仕掛けにもなっている。
多メディア化時代における広告媒体の多様化と競争という問題は、何もアメリカに限ったことではない。似たような課題は日本にも存在するであろう。もちろん個々の事情が異なることはいうまでもないが、今回のアメリカ新聞界のキャンペーンは、同じく多メディア化時代を迎えつつある日本にとっても十分参考になるのではないだろうか。
(4月10日)
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