GLOBAL Interview 2006.3/vol.8-No.12

スイス政府観光局
押尾 雅代 氏

スイス連邦
 スイスではドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語という4つの国語が認められている。国名もそれぞれSchweiz(シュヴァイツ・ドイツ語)、Suisse(スイス・フランス語)、Svizzera(シュヴィツェーラ・イタリア語)、Svizra(シュヴィズラ・ロマンシュ語)と異なるため、正式名称はラテン語でConfoederatio Helvetica(コンフェデラチオ・ヘルヴェティカ)と定めている。このラテン語表記の略称であるCHは自動車のナンバープレートや通貨の単位、切手などに国名の標識として使われている。

 「スイス」と聞いて思い浮かぶイメージは、時計やチーズ・フォンデュ、永世中立国など様々だが、やはり一番は大パノラマが広がる自然であることに異論を唱える人はいないだろう。
 世界に名だたる3000〜4000メートル級のアルプスや宝石のように美しい湖、雄大な氷河などに代表される絶景は、この国を訪れる多くの観光客を魅了してやまない。事実、世界各地から年間1200万人、日本からも30万人を超す人々が、その美しい自然を目当てにスイスを訪れるという。
 しかし、スイスの魅力はそれだけではないとスイス政府観光局 メディアマネージャー 押尾 雅代氏は語る。最大東西幅350km、南北幅220km、車ならわずか3〜4時間で縦断してしまう小さい国に秘められた魅力とは何か。今年、日本開局30周年を迎える東京支局を訪ねた。

――スイスにとって観光産業とは
 皆さんはスイス=観光立国というイメージをお持ちだと思うのですが、スイスの観光産業はGDPの約5.5%を占めており、スイスでは3番目に重要な産業だと言われています。1番目は金属工業、2番目が製薬・医薬品で、その次が観光業となっています。ですから、スイスの中でも非常に重要なウエートを占めているといえます。

――どういう人々がスイスを訪問しているのですか
 スイスは熟年になられた方々に特に人気があります。仕事も第一線からは引退し、ある程度時間とお金に余裕がある、60歳以上の方々が多いようです。しかも、ご夫婦で旅行なさる方が圧倒的ですね。

――今後、どういう人々に来ていただきたいですか
 誤解を恐れずに言うと、スイスは決してセクシーな国ではありません。海外でブランド品のショッピングやエンターテインメントを楽しみたいと考えている人々は、最初から他の国に行かれると思いますし、私もそのようにお勧めします。
 その代わり、スイスには他国にはない、普遍的な美しさがあります。その本当のすばらしさは、ある程度成熟された方のほうが理解しやすいのかもしれません。ですから、私たちがスイスにぜひ来ていただきたいと思うのも、やはり買い物や娯楽を求める人よりは、本当に普遍的な美しい自然を求めていらっしゃる方々です。きっと、そういう人たちには心に響くものがスイスにはあると思います。

――今年で日本開局30周年を迎えますね
 開局した当時は、まだ海外旅行も身近とはいえず、ヨーロッパへ行く場合にも、中近東を経由する南回りでまる一日かかっていた時代でした。その後は日本人の海外旅行人気が高まるにつれ、スイスへの観光客もほぼ順調に増えていきました。
 30周年を迎えた今年は、旅行会社向けと個人旅行者向けにそれぞれキャンペーンを実施しています。特に、近年増加している個人旅行者をさらに増やしたいと考えています。
 スイス旅行は熟年の方が多く、一度目は旅行会社のパック旅行でいらっしゃる方が多いのですが、皆さん非常に勉強されていますし、二度目のスイス旅行は自分で行きたいと考える方も多いようです。
 スイスは非常に制度が整っている国で、電車は時刻表どおり動いているし、人々は優しいし、外国人にも慣れており、ほとんどの人が英語も話せます。個人旅行者にとって非常に旅のしやすい国だと断言できます。

――スイスに秘められた魅力とは
 スイスは小さな国にもかかわらず言語圏が四つもあり、ドイツ色、フランス色、イタリア色がそれぞれ感じられます。この複雑さこそが非常におもしろいスイス・オリジナルの魅力になっています。
 また、このほかにも皆さんにはオーセンティックな、本物のスイスを知っていただきたいと考えています。スイスには元からあるものを壊さずに、上手に快適に共存するシステムが整っています。そういう部分もさらに知っていただくべく、今後もプロモーションに取り組んでいきたいですね。



 1995年スイス政府観光局東京支局入局。情報担当、局長補佐を経て、現在はメディア担当としてスイスの魅力を雑誌・新聞などを通して幅広く紹介すべく、企画・コーディネートなどを手がけている。
「入局する前はスイス中部の山岳リゾート・グリンデルワルトでスキーと観光のガイドをやっていたんですよ。大好きなスキーを仕事にできるなんて、なんて素晴らしいことだろうって」
 今でも仕事柄、年間約100日はスイスで過ごすという。たまには南の島にも行きたくなるのではと尋ねると、「休暇もスイスで過ごすんですよ。日本の温泉も捨てがたいですけどね」と笑って返された。

(佐藤)

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