こちら宣伝倶楽部 2006.1・2/vol.8-No.10・11

さて今年どうするか 広告主としての課題と判断
イラスト 正月のよいところは、なんとか気分一新しようと努力することであり、物事にけじめをつけ、よりよき新しい関係づくりを思索することである。ふだんだったらちょっと抵抗あることでも、このけじめ時には人は寛容になる。このチャンスを利用しないのはもったいない。
 各社の広告宣伝の仕事環境は決していい話ばかりではない。課題や問題も多く、基本的なことにメスをいれるなら今がチャンス、今年ひと息いれて気分一新したいことを考えてみる。

やめる 切る つくる あげる

(1)テレビといかに向き合うか
 総広告費の34.9%がテレビに使われている。うち62.2%のCMは不発というデータもある。GPRは広告会社の論理、もうテレビは古いという声もある。コストを食う、そのくせスポット購入の大半は広告会社まかせになっている。はじめにテレビありきという常識が広告計画の全体像をゆがめたままにし、そのことへの気づきがおくれている。思いきってテレビにメスを入れ、血流を変えることの検討を。  
(2)従来関係の見なおし
 広告の仕事は人間関係がベース、だから古い体質を引きずっているし不透明な部分も多い。新しい仕事の環境をつくるために腐れ縁のようなものがあれば切ること。出入りの広告会社を点検しなおして整理し、新旧交代も考える。担当者の人事も先方と相談してみる。プロダクションやクリエイターも、散らばりすぎたらまとめて濃くし、アカウントとの分離も研究課題。
(3)志の点検
 バタバタの現場仕事だけに終始してはいけない。宣伝部の仕事に対する理想や理念など高い志について考え、練りに練って文章化しスタッフで共有し、腹をくくった仕事に目覚めておくこと。宣伝部の責任や自覚、期待されていることを整理してわきまえておくことだ。宣伝部が会社の良心、宣伝部の活動が企業文化を支え、知のにおいを発散していくことにも目覚めよう。 バタバタの現場仕事だけに終始してはいけない。宣伝部の仕事に対する理想や理念など高い志について考え、練りに練って文章化しスタッフで共有し、腹をくくった仕事に目覚めておくこと。宣伝部の責任や自覚、期待されていることを整理してわきまえておくことだ。宣伝部が会社の良心、宣伝部の活動が企業文化を支え、知のにおいを発散していくことにも目覚めよう。
(4)クリエイティブの重点的見なおし

 ビジュアルの印象はやっぱり強い。美しく一本すじの通ったイメージはブランドへの貢献も高い。ブランドのにおいを引きだすためにクリエイティブのコストはけちらないこと。予算の5%から10%くらいは実験的なことに投下する枠をキープしたい。具体的な表現の技術にはいる前に基本になる考えや姿勢をしっかり、はっきりして、オリエンの技術を洗練させること。

なおす 出る 考える 悩む

(5)価格交渉のやりなおし
 民放133局によるCMのCMは台所事情を察するにじゅうぶん、録画による再生やDVDレコーディングなどで、CM飛ばしの普及はどんどんすすむ。CM料金のロス、タイム別料金制の無意味、多チャンネル化に伴う視聴率の分散などテレビのビジネスモデルが変わる。雑誌も印刷所の証明つき公式部数がやっと出た。改めて料金交渉しなおすべきときでもある。
(6)宣伝部の社内アイデンティティー
 宣伝費でなく宣伝部の存在そのものを経費と考える社がある。宣伝部員の質と量が落ち、責任者のキャリアも浅くなる。広告会社の思うつぼだ。宣伝予算のありかも変わり、重要な会議に宣伝部のお呼びがかからない。はっきりいってその社のコミュニケーション力やイメージが好転するはずはない。小さな節約が大きなロスを生みバラバラの素人判断が過去の遺産を食っていく。宣伝部の社内アピールは当面の課題。
(7)仕事の丸投げ・丸受けを慎む
 知恵と熱意がなく、金だけなんとかあるという集団は、仕事をいったん受けとめて練るという工程を略して外部へ丸投げ発注する。仕事はこなせるが長い目で見ると一貫性もストーリーもポリシーもない。だから蓄積して財産になるものがいつまでたってもない。外部からの持ち込み企画をそのままとりいれる丸受けも恥ずかしい仕事だ。考えて悩むから血となり肉となる。
(8)総合的中期計画をたてる
 広告や宣伝の仕事は駅伝みたいなもので、前の仕事と次の仕事をタスキという申しおくりでつないで目的地をめざすものだ。走者によって走路の条件はまちまち。下調べして全体計画をたてねばならない。広告宣伝という仕事の機能が経営に響かねばならない。少し長めのプランをたて熟成させる仕事を完成させたい。商品にだけ目を奪われた設計だけでは熟成はない。

守る 話す 遊ぶ ほのぼの

(9)戦う姿勢と覚悟をもつ宣伝部へ
 考えようによって、宣伝部は会社のためでなく市場、つまり顧客のためにある。顧客のために企業の中にはいりこんで機能するのが仕事だ。
 顧客にとってマイナスなことよりプラスになることを優先し嘘(うそ)はつかない。顧客の利益を守るために場合によっては会社と戦う姿勢や覚悟が宣伝部にあるかどうかが問われる。顧客の得にならない、ほしいと思ってもらえない商品だったら広告しない。そういう骨太を忘れない。
(10)ニュートラルな相談相手をもて
 はっきりいって、広告会社は時として敵でもある。彼らの売り上げ予算はこちらの宣伝予算になる。隙を見せると広告会社の論理で煙幕を張り、ソリューションなどという理屈で攻めてくる。宣伝部は非公式な相談相手を持った方がよい。それは先輩OBでもよいし、他業他社の宣伝担当氏でもよい。こういう人たちとの私的関係づくりと日常のコンタクトは武器になる。
(11)日常からの脱出を試みよ
 口がさけても「忙しいから」を断りの理由にしないこと。積極的に机から離れてこころを遊ばす努力をすること。非日常を大切に仕事おたくにおぼれてしまわないこと。脳を遊ばせ、考える時間の創造に意欲を示すこと。そうでないと価値が腐っていく。宣伝部員はいい意味で自由人であること。その集合体の宣伝部はフレキシブルでいつも陽気で、好奇心旺盛であること。
(12)仕事の夢 ロマンを失わない
 気持ちの余裕は失わない方がよい。時代はギスギスする一方でほのぼのとしたものが少ない。現実ばかり追いかけるとこうなる。企業やブランドの表情が見苦しくなっているはずだ。
 ビジネスに夢とロマンがほしい。宣伝部には一番大切な仕事の領域かも知れない。人々は企業発のゆったり、ほのぼの、のんびりのメッセージに魅力を感じるようになる。結果ばかり気にせず少し先を見る目を大切にしてほしい。
もどる