AD FILES 2006.1・2/vol.8-No.10・11

環境を切り口にビジョン発信 三日続けてCSR広告を掲載
NTTデータ 広報室 課長 加藤恭彦氏  「Insight for the New Paradigm 未来のしくみを、ITでつくる。」というコミュニケーションワードを掲げて、新たな企業理念、グループビジョンのもとに活動を始めたNTTデータは、12月8日を皮切りに全ページカラー広告を3日間連続で夕刊に掲載した。

BtoBtoCの企業メッセージ

 「我々も社会の一員として世の中の発展に貢献している企業ですから、社会全般とのかかわりを意識する必要があります。これまでは主に直接の顧客である企業に向けたメッセージを発信してきましたが、今回はそれとは別に、広く社会に向けたメッセージを発信するために、CSR(企業の社会的責任)を意識した新聞広告を出稿しました」と語るのは、広報室課長の加藤恭彦氏。
 1988年にNTTのデータ通信事業本部から、NTTデータ通信という形で分社した(98年にNTTデータに社名変更)同社では、連結売上高の約9割が、公共・金融・法人の各企業・団体向けのIT関係のシステムやサービスの提供となっている。
 「我々のビジネスは、そのほとんどがBtoB型です。しかし、一方でBtoBtoCいうことも意識しています。BtoB型のビジネスを通じて直接的には顧客企業へのバリューを提供しているとはいえ、その先には必ず消費者であるC(コンシューマ)へのバリュー、さらには社会的なバリューを提供しているという自負があります。今回の企業広告では、顧客であるビジネスマンだけではなく、彼らの周りにいる人たちにも我々の存在価値を認知、理解してもらうために、広く社会に対して伝えることが大切だと考えました」
 すべてのステークホルダーが連携しながら、目標に向かって意識を共有していかなければならないというのが同社のCSRの考え方だ。企業だけが頑張ってもダメ、行政だけでもダメ、もちろん個人だけでもダメである。同社では、今回の広告の目的として、ステークホルダーの主要な構成要素であるグループ社員に向けたインナー効果も重視したという。
 「我々の本質的な事業の意義を再認識し、創業の原点に立ち返ることも狙いの1つです。お客様が考えている課題よりも少し先の未来を見据え、そこで洞察された課題に対して、自分たちがリスクを取ってお客様に解決策を提供する。それが社会の発展につながるという創業以来培ってきた企業姿勢を世の中に宣言するとともに、我々自身が改めてそういう会社であることを確認しようと考えました」

過激な演出をせずシンプルに

 バックにエコロジーカラーのグリーンを使い、実際の事業活動に即した3行の白抜きコピーに徹して、余白をぜいたくに使ったシンプルなレイアウト。この印象的な広告ビジュアルには本誌の読者モニターからも「緑一面の広告が何とも美しく、印象深い」「もえぎ色の奇麗な紙面が目に留まった」などの声が寄せられた。
 「読者に気づきを与え、企業としての懐の深さや思考の深さを伝え、そして読む人の腑に落ちるように表現したいと思いました」というように、必要のないコピーは一切省き、華美な演出をせず、メッセージは一点集中型に徹してきっちり伝えることを心がけたという。
 また、一般の読者にとって最も身近で、わかりやすいことを重視して環境問題を主なテーマに据えたのは、「誰もが未来に向けて取り組んでいかなければならない課題であり、かつ、我々の事業性とも合っているからです。ただし、環境問題の解決だけが我々の企業ミッションのゴールではなく、あくまで我々の社会性を世の中に認知・理解してもらうための入り口としてモチーフにしたということです」。
 今回、企業の思いを伝えるためのメディアに夕刊を選択した理由の一つとして加藤氏が挙げるのは、家庭の中でプライベートタイムに読まれるメディアであり、ビジネスマンが一生活者に戻った感覚で広告に接してくれるだろうということ。
 「もう1つの理由としては、週末の夕刊には環境やカルチャーといった記事がカラーで数多く取り上げられていて、今回の広告テーマに合っているということがあります。また、3回シリーズの広告を連日展開したのは、これまで一般紙にあまり広告を掲載していない我々では、月に1回ずつポンと出したところで埋もれてしまいます。それならば3日連続で集中出稿することで、インパクトを与えたいと考えました」

情報を最適なメディアで発信


 「広告を出稿する立場からすると、一般の人が持つ新聞への信頼性、知性、誠実さといった特性を借りて、我々のブランド形成に結び付けたいと考えています。また、新聞は社会への影響力が大きく、社会に対して議題設定をしていくメディアとして位置づけています。そういう意味では、読売新聞は読者層が最も一般社会に近く、裾野が広いというイメージがありますね」
 新聞のほか、テレビはイメージ中心、ラジオはフリークエンシーによってシズル感を刷り込んでいくメディア、ネットはプルメディアであるため、個々人が知りたい情報を詳細かつリアルタイムに伝えるためのメディア、雑誌は認知促進よりも理解につながるメディアなど、それぞれの特性に応じて使い分けるという。
 「受け手の気持ちになって考えたときに、受け手が必要な情報は、出し手の思惑とは全然違う場合が多いものです。情報の受け手と出し手には距離がある。だから、1つの情報の弾を誰に向けて放つのかを考え、受け手にとってふさわしいメディアは何かという観点と、そのメディアに合った表現手法を考えることが必要だと思います」と加藤氏は語る。
 同社では、今後も適切なメディアを通じて、広く社会に向けて企業のビジョンや思いを積極的に発信していく予定だ。

12月8日 夕刊 12月9日 夕刊 12月10日 夕刊

(橋本)
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