特集 2005.12/vol.8-No.9

2005年の新聞広告を振り返る
新聞社とつくる企画広告の意義と役割

Kazuhiko Mitamura
1938年京都生まれ。1957年にワコールの前身、和江(わこう)商事に入社。1998年同社退社、三田村和彦企画事務所を開設。日本広告主協会理事を14年務める。日本マーケティング協会マーケティングマイスター、日本ペンクラブ会員。著書に「街角からのマーケティング」「現場感覚の磨き方」など。本誌1999年5月号から「こちら宣伝倶楽部」を連載中。


 新聞社が制作する企画広告の質的向上を目指して昨年末に読売新聞の広告局内につくられたのが「広告紙面向上委員会」だ。この1年、委員をやってこられた三田村和彦氏に、2005年に読売新聞に掲載された企画広告を例に、広告主の立場から見た企画広告の意義と役割を聞いた。

――これまで新聞社の企画広告は、広告主の視点から語られることはあまりなかったと思うのですが。
 企画広告の意義は、新聞社が、自社の責任で、新聞の特性を生かして広告主を支援するところにあると思います。特に最近は、企業の社会的責任やら説明責任が問われるようになってきましたから、企業の広告活動をサポートする企画広告の役割が重要になってきていると思います。
 広告主には、通常の広告とは別にコメントしたいことが必ず山ほどあります。それが増える傾向にある。企業活動の社会的意義、世の中とのかかわり、それから商品以外でも企業はさまざまな活動を行っています。通常の商品広告では言えないことがたくさんあるんですよ。しかし、これを伝える場所がないんです。商品や企業活動も大きなニュースでなければ記事では取り上げられませんし、広告主はそういう場所がほしい。
 純広でやればいいという考え方もありますが、広告主からの一方的なコメントは誤解を招くことがあります。広告主が独自に広告を作っても、主張する内容によっては、「偉そうに言って」「できもしないことを言って」と受け取られる恐れがある。環境問題にしてもみんな何か協力したい気持ちは持っていますが、それを企業が直接言うと、素直に受け取られないところがある。企業の自慢話になってしまいがちだからです。
 企画広告の場合は、新聞社、つまり社会的なメディアと組んで企業の考え方を伝えることになりますから、それを少し和らげるというのか、客観的に伝えることができる。そういうものが、新聞社の企画広告だと思いますね。

メディアと直接話をする機会

――純広の場合は訴求ポイントを絞り込めと言われますが。
 そういう意味では、企画広告というのは逆で、ポイントを絞りきらないというか、泥臭いところが残っている。それが逆に親近感を生んだり、企画広告のよさになっているところもあると思います。すきのない広告というのはおもしろくないですから。

――企業が抱えている問題や悩みに応えるのが企画広告ということですが、それは外側から見えにくいですね。
 だから、新聞社の人たちが広告主の悩みとか痛みを、ふだんのコミュニケーションのなかでどれだけつかんでいるかが大事だと思うんです。
 多くの広告主がメディアと直接話したいと思っていると思います。以前、メディアの人が直接来ないのはうちの会社だけかと思って、大手の広告主に聞いたことがありますが、メディアと直接話す機会を望んでいる広告主が多かった。多くの広告主がメディアと直接話したいと思っていると思います。以前、メディアの人が直接来ないのはうちの会社だけかと思って、大手の広告主に聞いたことがありますが、メディアと直接話す機会を望んでいる広告主が多かった。
 メディアの若い現場の担当の人といろいろ議論してみたいわけです。こんなスペースはできないだろうか、こんなことはできないだろうかというときに、その場で答えがもらえる。そういう意味では、企画広告は広告主とメディアが直接話ができるいい機会だと思います。

新聞社の編集力を生かして

――そういう視点から、2005年の企画広告の中で印象に残ったものをいくつかあげて欲しいのですが。
 雑誌の定期購読の申し込みができる企画広告は、おもしろいと思いましたね。昨年も同じ企画をやっていたのを覚えているのですが、さまざまな雑誌が載っていた。これは、広告そのものが新聞の編集手法でつくられている。ぼくらの知らないこんな雑誌があるのかと思いました。これは絶対新聞社にしかできない企画です。「大人にすすめる絵本27冊」も同じ考え方の企画広告で、こういうのは、やはりぼくらは気になるんですね。
企画広告と純広との一体感という意味では、あいおい損保の「補助犬」なんか、そうですね。かわいい、きれいというのも広告にとって大事な要素です。企画広告とイラストレーションの力は、特に新聞は見直すべきだと思います。今の世の中は、残念ながらいいイラストレーターがなかなか育たない仕組みになっています。イラストを使っている広告にちょっと頑張ってほしいなと思ってるんです。

9月26日 朝刊 6月7日 朝刊
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対談/見えてきた新聞広告の新潮流
眞木 準氏 コピーライター×関沢英彦氏 東京経済大学教授→
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