新聞広告の色彩学 2005.12/vol.8-No.9

クローズアップ色彩世界
10月2日朝刊  アサヒビール 10月14日朝刊  フェラガモ 10月2日朝刊  ブエナ ビスタ ホームエンターテイメント 10月6日朝刊  トヨタ自動車
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 漢語で愛景という10月、今年はいろは坂で知られる日光の紅葉の期間が遅かった。毎年そこに白雪(遠景)、紅葉(中景)、緑樹(近景)の3色構成の風景を撮影しようと地元カメラマンが押し寄せる。だが、クローズアップ写真は力強さが魅力。クローズに精密という意味があって、ザラザラツルツルの質感がグゥーッと目に迫る。これがたまらない。

 「ブラックニッカ12年」の茶色の世界は、温かく厚い色から質感がよく伝わる。表される黄褐色から赤褐色の濃淡が醸し出すものは茶色一系の色世界。どういうわけか人間の眼は茶色肩入れで、青色範囲よりも茶色範囲の色に格別な読み取り可能性がある。すなわち色変化として見分けられる幅が広くて深いのだ。そんな色変化の微妙な動きを瓶と文字の黒色がドンと押さえた、静寂で色豊かな秋深まる感じを背景に、氷山を浮かべたウイスキーが黄金色に光っている。この命の水の海の色は当然ながら茶色交響空間の主催色だ。

 「ガンチョ・ロゴ」発売お知らせのフェラガモの黄金色世界も、クローズアップ質感の迫力広告。キラキラまぶしい金色も白み金色から赤色み参加の小判金色まで、色の顔は多様で多彩。ハイキー統一の色設定が、まれに見るほどに紙面の白色をうまくつかんでいる。

 「ハウルの動く城」も質感だ。これはおどろおどろしのビックリ不思議な質感だが、埃っぽいような汚れたようなこんな感じは田舎には以前あふれていたものだ。だから綿密な筆致の重なりが表している、暗っぽく奇怪さ満ちた空間がどこまでも奇妙になつかしい。下段の美男と美女?と美脳の取り合わせがそれとうまく同調したこともまことに不思議だ。

 動くは赤色。「F1日本グランプリ開催」の広告はみごとにそれをきめた。赤勝て白勝てとはこんな場合の典型の慣用句だが、その殻を大胆に破ったのは視線の流れ取り入れによる喚声の視覚化の成功だ。声のクローズアップとは着眼絶妙、赤白の対比で迫力満点。

 

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