新聞広告の色彩学 2005.11/vol.8-No.8

秋に色うたう
9月25日朝刊  資生堂 9月23日朝刊  サントリー 9月10日朝刊  キリンビール 9月6日夕刊  伊勢丹
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 9月をいろどり月という。稲穂の稔(みの)りがあって、黄葉があって、南国では早くも柑橘(かんきつ)類の実りがあってと、黄色がそろい踏みをするところが四季の中でも特色だろう。すがすがしい秋はまた運動会のシーズン。よって、身体高揚黄色月は元気月と呼びたいところだが、いろどりをウッカリ赤や緑の有彩色のことと思うのは、誤解らしい。辞書には、色を着けることとある。素直に理解すれば、秋は自然が絵筆で描く季節と昔の人は考えたのだ。

 新聞広告も負けずに彩色兼美。資生堂シノアドアの美肌整美クリームの広告は、これも元気健康色のピンクでがんばりを見せる。この鮮美な紅色の仲間は日本の伝統では顔を出さない中国の固有色だが、シノアとは中国のことだから、ピンク採用が解明される。開いたまゆ形の窓の真ん中にデンと浮かんだ容器の深い紫色は、もちろんわが国の最高色だ。

 さて、金色をバックに浮かぶは、サントリーのシングルモルトウイスキー、50年の経年シリーズ。ウイスキー国際コンクールで、ワールドとインターナショナル双方の金賞受賞の報告広告だ。とくにSWSC最優秀賞は日本初の快挙。どうりで金屏風(びょうぶ)の背景色が秋色の輝きを見せているはず。黒ラベルの18年物が、秋は静かに飲むべかりけりはもう終わりで、今年から万歳万歳と飲むべかりけりとダークリッチな赤紫色の台上で言っている。

 ワインカラーならこちらと、キリンのシャルドネスパークリング氷結シリーズに赤ブドウのロゼが参加表明。濃いブドウ色と緑の葉から顔を出したのは、バッカス神ならぬ氷結パッケージ。缶のうろこ模様とも見える四角形くり返しのパターンが、また魅力十分だ。

 掉尾(ちょうび)、伊勢丹は、深まる秋色も十分な装いに身を包んだ美女広告だ。偶然か、背景の紅葉の間を埋める地色はキリン氷結缶の色に共通のやさしい秋風色。コートの赤と緑の配色が大和絵伝統紅葉の彩りと懐かしいが、チョコレート色が入ってフレッシュな秋の感覚。
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