From Overseas - NewYork 2005.11/vol.8-No.8

メジャーリーグの底力
9月28日 NYタイムズ紙
 今シーズンのメジャーリーグもいよいよ終盤を迎えようとしている。10月初旬にレギュラーシーズン(ペナントレース)が終了、ほとんど間を置かずにポストシーズン(プレーオフ)に突入した。ディビジョンシリーズ、リーグチャンピオンシップ、そして、ワールドシリーズと月末にかけて王座をめぐって白熱した戦いが繰り広げられる。
 ここニューヨークを本拠とするヤンキースも、一時はポストシーズンへの進出が危ぶまれていたが、シーズン後半の驚異的な追い上げと、終盤の宿敵ボストン・レッドソックスとの激しいデッドヒートの末、何とかプレーオフへの切符を手に入れた。しかし、残念ながらディビジョンシリーズで敗れてしまったため、2年連続でワールドシリーズへの進出を逃してしまった。
 こうした激戦が展開されたこともあって、球場に足を運んで声援を送ったニューヨーカーも多かったはずだ。ヤンキースタジアムのペナントレースにおける観客動員数はアメリカンリーグ過去最高の409万人を記録し、メジャーリーグ機構が応援感謝と新記録達成のお祝いを兼ねた全ページ広告をニューヨークタイムズ紙に出稿した。
 また、ヤンキースを含めたメジャーリーグ全体での今季の観客動員数は7,307万人にも上り、2年連続で過去最高を更新したという。
 だが、メジャーリーグも順風満帆だったわけではない。シーズン開幕前には一部選手のステロイド使用疑惑に揺れた。疑惑はヤンキースのジアンビ、サンフランシスコ・ジャイアンツのボンズといったスター選手にも向けられたとあって、メディアもメジャーリーグのファン離れが進むのではと盛んに報じていた。
 それにもかかわらず観客動員数は史上最多を更新したのだから、いかにメジャーリーグの人気が根強いかがよく分かる。
 こうした状況を広告主がほうっておくはずがない。今シーズンの開幕直前には、大手食品メーカーのゼネラルミルズを手始めに、ゼネラルモーターズ(GM)、DHLの3社が、わずか3週間の間に立て続けにメジャーリーグと新規の公式スポンサー契約を結んだ。
 アメリカ国内での販売台数が極度に伸び悩んでいるGM、そして、世界的には競争力があるものの、米国内ではFedEx、UPSといったライバル社の後塵(こうじん)を拝しているDHLにとって、足元を固めるためには、疑惑に揺れていたとはいえ、「国民的娯楽」のひとつといわれるメジャーリーグの力を借りずにはいられなかったと推測される。
 一方、ファン離れを叫んでいたメディアも、背に腹は代えられないのか、メジャーリーグの中継権には惜しげもなく予算を投下している。9月にはディズニー系列のスポーツ専門ケーブルTV局「ESPN」が契約金51%アップという厳しい条件をのんでまで来シーズン以降の契約を更新した。また、昨年の秋には衛星ラジオ局「XM」が2006年からの11年間で総額6.5億ドルに上る契約を結んだ。
 今回のステロイド疑惑、そして10年前の選手によるストと、何度かファン離れの危機に見舞われながらもそれをものともしないメジャーリーグ。広告やメディア業界にとってもまだまだ魅力的なものであり続けるのかもしれない。

(10月12日)

もどる