From Overseas - NewYork 2006.1・2/vol.8-No.10・11

新聞の雑誌
 日本と違い、アメリカの新聞はセクション折りが一般的だ。例えば、ニューヨーク・タイムズの場合、平日版でも一般(国内、海外ニュース)セクションのほか、ビジネス、スポーツ、地域情報など5〜6セクションに分かれている。これが、日曜版ともなると、さらに旅行、求人、不動産、自動車、書評などのセクションも加わり、総ページ数も平日版に比べるとゆうに3〜4倍はあり、手に取ってみてもズシリと重い。
 さらに、そこには新聞社が発行した雑誌も加わる。これもニューヨーク・タイムズに限らず、ワシントン・ポストやロサンゼルス・タイムズといったアメリカの他の主要紙でも発行しており、政治や経済といった硬派なものから、デザイン、グルメといった軟派なものまで、本紙とは一味違った記事が楽しめる。また、表紙は一流のカメラマンによって撮影されたと思われるグラフで飾られているケースもあり、かなり洗練されている。
 もちろん、アメリカの日刊紙は1,500にものぼり、すべての新聞社が自前でこのような雑誌を発行することは出来ない。雑誌社が発行したものや、日曜日にこだわらず平日に折り込まれるケースもあり、その代表的な例として、昨年の10月に復活した「ライフ」誌が挙げられる。
 ライフ誌は写真報道誌として1936年に創刊された。戦争写真のロバート・キャパ、ファッション写真のリー・ミラーといった歴史に残る写真家も輩出し、かつてはアメリカを代表する雑誌といっても過言ではなかった。週刊で発行されるほどだった同誌もテレビ媒体によるニュース番組が普及するにつれて部数が落ち込み、1972年には休刊となってしまった。1978年には月刊誌として復刊、90年代初頭の湾岸戦争の時代には週刊で発行されたこともあったが2000年には再び休刊へと追い込まれた。
 そして、前述の通り昨年10月に2度目の復刊を果たし、現在では毎週金曜日に全米各地の日刊紙70紙に折り込まれる形で配布されるに至り、部数も1,200万部にのぼる。写真誌としての伝統を残しつつも、今ではエンターテインメント情報など、週末のライフスタイル提案誌というコンセプトで発行されている。
 一方、特定のテーマをもとに季刊や不定期で発行されているケースもある。
 ニューヨーク・タイムズでは毎週日曜日に発行している雑誌「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」のほかに、「T」というタイトルでファッションやグルメ、旅行、デザインなど、特定の分野をテーマに年14回発行している。
 春と秋の年2回発行している「T:ウイメンズ・ファッション」はその一例で、昨年の秋以降、過去3回発行された。中でも、その最新号となる2005年秋号は8月下旬に発行され、その広告ページ数は169ページと、その前身の「パート2:ウイメンズ・ファッション」も含めると1985年の創刊以来、過去最高になったという。
 広告主からこれだけの反響と絶大な支持を得ているとは予想していなかったのか、同紙の幹部も驚きのコメントを残しているほど。ちなみに、新規広告主も20社近くにのぼった模様だ。
 最近のアメリカの新聞社は雑誌の発行に限らず、有力サイトの買収など、新聞広告以外の広告スペースの開発に余念がない。収入の半分以上を広告に頼っているという状況の違いはあるものの、その姿勢だけでも十分に学ぶべきところはあるかもしれない。

「T:ウイメンズファッション」 2005年秋号

(9月5日)

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