企業訪問 2005.10/vol.8-No.7

電話帳は“外せない”メディア
 今、新しいビジネスツールとして電話帳が脚光を浴びている。ブロードバンド・ユビキタス化が進むこの時代に、なぜ紙の電話帳に注目が集まるのか。NTT番号情報 取締役 営業部長 坂本 優氏に、電話帳が持つ力と今後の展望について尋ねた。

坂本 優氏  電話の歴史は、そのまま電話帳の歴史でもある。1876年にグラハム・ベルが電話を発明したわずか2年後に、アメリカ・コネチカット州ニューヘブンで世界初となる電話帳が発行されている。
 日本で初めて電話帳が発行されたのは1890年(明治23年)10月のこと。この年の12月に東京―横浜間で初めて電話が開通するのに先立ち、利用者に配布されたのが、226人の加入者を記した「電話加入者人名表」だった。ちなみに、この電話帳に名を記したのは渋沢栄一や大隈重信など近代日本の立役者ばかり。いわば、当時の紳士録といった趣もあったという。
 それから115年がたち、現在、全国で発行されている電話帳は職業別電話帳「タウンページ」、50音順電話帳「ハローページ」、そして両者を合わせた「タウン&ハローページ」の3種類合わせて約1億2300万部にのぼる。これらすべてを手掛けているのがNTT番号情報である。
 
コンテンツビジネスをリード

 NTT番号情報は1999年3月、NTT電話帳部門と情報案内部門の統合・一本化により発足した。
 現在、同社が行っている事業は大きく3つに分類される。まずは電話帳発行にかかわる「ペーパーメディア事業」、次に104番号案内やハローダイヤルの「ボイスメディア事業」、そしてインターネット検索サイトiタウンページの「ITメディア事業」だ。
 これらの事業に共通するものは「NTTグループが持つ非常に魅力あるコンテンツ、電話番号情報というリソースを生かしている点だ」と同社取締役営業部長 坂本優氏は語る。
 近年、情報通信分野はブロードバンド化の進展により、市場環境が急速に変化し、厳しい競争の時代を迎えている。そんな中、同社はブロードバンド時代のコンテンツビジネスをリードする企業として、全国の事業所・店舗の電話番号、住所、さらに企業のプロフィルを収集したデータベースを基に、常に利用者の利便性を追求した魅力的で付加価値の高いサービスを提供している。その代表がタウンページである。
 
広告媒体としての電話帳

 黄色い表紙でなじみ深いタウンページは、1100万件の事業者・店舗名、電話番号、住所ならびに106万件の広告からなる職業別電話帳だ。ビジネスに役立つ情報媒体として、また、日本全国を229の地域に分けて発行するなど、地域密着型の便利帳としての顔も持つ。
 「これらに裏付けされた利便性によって、タウンページは他に類を見ない、強力な広告媒体になっている」と坂本氏は豪語する。
 「2004年 日本の広告費」(電通)によれば、電話帳広告の掲出料総額は1342億円に上るという。これは、2004年の日本の総広告費5兆8571億円の内、約2.3%を占める計算になる。マスコミ4媒体の1つ、ラジオ広告の総額が1795億円ということを考慮すれば、電話帳広告がいかに市民権を得ているかが分かる。「電話帳という媒体の広告価値が正当に評価されていると言えるだろう」
 広告媒体としてのタウンページの魅力は、「新規顧客獲得に特に効果的なこと」だという。よって、同社は現在、タウンページの訴求対象者を広告掲載見込み客に絞り、宣伝・広報活動を行っている。広告のクリエイティブも、実際にタウンページに広告を掲載したお店や事業者に、新しい顧客がタウンページによって導かれる様子をユーモラスに描いたものになっている。
 「従来は電話帳を引く方に向けて『こんなに便利ですよ』と言ってきたが、この広告は街のご商売をやっている方々に『ご新規さん、ふやします。』とストレートにメッセージを投げかけた。これから広告を出そうと考えている顧客の心に強く訴えることができたと自負している」

ハイテクとローテクの融合

 紙の電話帳では盤石な地位を確立している同社だが、ブロードバンド・ユビキタス時代の進展に合わせ、全国1100万件の企業・店舗情報をパソコンやケータイで検索できるローカルサーチサイト「iタウンページ」のサービスも拡充させている。
 さらに、昨年11月から新サービス「mi(マイ)タウンページ」の試験運用も始めている。これは、利用者が自分の生活行動圏(自宅、会社、遊び場など)を登録することで、自分に合った情報を、パソコンやiモードを通じ、インタラクティブに受け取ることができるサービスだ。現在、新宿―立川間のJR中央線エリアのみで提供されているが、今後、ほかのエリアにも広がる予定だ。
 また、同社の持つボイスメディア、つまり、オペレーターによる声の案内サービスとの組み合わせにより、タウンページブランドの媒体価値を上げることにも取り組んでいる。
 「ハイテクとローテクを組み合わせ、単に無機質ではないサービスを今後も提供していきたい」
 タウンページが単なる電話帳の枠組みを超え、国民共通の資産・財産と認知される日も、そう遠いことではないのかもしれない。

7月12日 朝刊
NTT番号情報は新聞広告紙上でなぎら健壱、ピエール瀧を商店主に見立て、タウンページの媒体効果をアピールした(7月12日朝刊)

(佐藤)
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