ojo interview 2005.9/vol.8-No.6

永井 一史氏
永井 一史氏

 2004年クリエイター・オブ・ザ・イヤー、2005年度ADCグランプリなど、現役クリエイターの最高峰ともいえる賞を総なめにした。サントリー「伊右衛門」や日産自動車「SHIFT_」、アップルコンピュータ「iPod」、リーガルなど、いずれもクライアントや商品の「根っこ」をきちんととらえて表現する真摯(しんし)な姿勢に貫かれている。そのための調査やミーティングなど地道な作業も苦にならないという。「僕は基本情報があればあるほど作りやすいタイプなんです。今の時代、世の中での存在理由であるブランドの根っこのつかまえ方が間違っていると、どんなことをやってもダメだと思うんですね」
 少年のころから人が面白がったり驚いたりするアイデアを考えたり、モノを工夫して作ることが好きだったという。「純粋自己表現としての広告作品」を作りたくて博報堂に入社するが、先輩の大貫卓也氏らと仕事をする中で広告に対する考え方は180度変わった。「以前は賞を取ること自体が大きな喜びだったのですが、今は信頼できるクライアントと課題解決を根っこから考えて、それがどれだけ達成できるかに一番ワクワクします。それで会社全体の意識まで良くなればもっとうれしいですね」
 かつて、新聞を丸ごと包んだカバー広告や白紙広告などの斬新な新聞広告を連発し、谷山雅計氏に“新聞工夫オトコ”と名付けられた。「だんだん年齢とともにオーソドックスな考え方になりつつありますね」と笑いつつ、今では世の中へ意味を発信して社会化したり、インターナル効果が最も高いメディアとして新聞広告を位置づける。
 「今の課題はデザインでブランディングすることです。これからは今まで想像もできなかったような局面でデザインが重要なファクターになっていく気がします」
 元来朝型で、午前8時始業にしたが、「夜も遅いですね。本当は知らない人と会う時間を作ったりしたいんですけど、なかなか」。

文/横尾一弘  写真/はやしたつお
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