GLOBAL Interview 2005.9/vol.8-No.6

シュワルツコフ ヘンケル
足立 光氏

シュワルツコフ ヘンケル
 ドイツ最大手の化学・日用品メーカー、ヘンケルグループの日本法人。
 2000年3月、白髪染め「パオン」で知られる中堅ヘアカラーメーカー「山発産業」を買収し、それを母体にライオンと合弁会社「ヘンケル ライオン コスメティックス」を同年12月に立ち上げる。
 2004年7月に合弁関係を変更し、社名も今年4月1日から世界共通のものに。現在、「パオン」ブランドを中心に、「フレッシュライト」、「マロン」などのヘアカラーを中心に事業を展開している。

 「シュワルツコフ&ヘンケル(Schwarzkopf & Henkel)」は、世界有数の化学・日用品メーカー「ヘンケルグループ」のコスメティックス事業を展開する企業体名である。ヘンケルグループは、ドイツ・デュッセルドルフを拠点にホームケア、パーソナルケア、接着剤・シール剤・表面処理剤の3分野で事業を運営し、世界125か国に約5万人の従業員を擁している。身近なところでは、スティックのり「プリット」も同グループの製品だ。
 日本法人「シュワルツコフ ヘンケル」は、1世紀以上の歴史を持つ日本のヘアカラーメーカー「山発産業」を母体にしている。2000年の誕生当初こそライオンと合弁を組んでいたが、それも昨年7月に解消。今年4月から社名も世界共通のものに変更し、代表取締役社長に37歳の足立 光氏が就任した。そこで、シュワルツコフ&ヘンケルが持つブランド・技術力と、日本人の髪を知り尽くした山発産業の経験・技術の結集を生かし、今後どのような戦略を取っていくのかを尋ねた。

――ライオンとの合弁事業を解消した理由は

 日本市場はアメリカの次に大きなマーケットであり、消費者はクオリティーに対して非常に要求が高く、他社との競合も厳しい。そこで、当初ヘンケルは合弁という形を取ったが、より本格的に参入したいという気持ちから、昨年ヘンケルの出資比率を85%まで高め、現在の体制になった。

――現在はヘアカラーのみの展開ですが

 日本ではヘアカラーしか展開していないが、これは母体となった山発産業がヘアカラーメーカーだったことと、今までライオンさんと合弁していたため、競合商品を出すことは考えられなかったためだ。
 ただ、ヘンケルはヘアカラーだけのメーカーではない。ヘアケア、スタイリング、ヘアカラーなど、ヘア関連が売り上げの約半分を占めるが、ボディーケア、スキンケア、オーラルケア(歯磨き粉など)なども手掛けている。
 しかし、日本に関しては今後もしばらくはヘアカラー「パオン」をメーンにしていこうとしている。市場的にも伸びているし、我々の売り上げの多くを占めている。
 ヘンケルは数多くのブランドを持っているが、その中でもパオンはアジアで最も大きなブランドだ。しかも、日本国内ではパオンブランドの認知度はかなり高い。ブランド力はゼロから作るより、大きなものを伸ばすほうが簡単だ。だからこそ、今後もパオンを前面に出していこうとしている。
 
――将来はヘアカラー以外の商品も出すのですか

 出していきたいと思っているが、その前にいくつかやろうとしていることがある。1つは会社の基礎体力を強化することだ。そのためには、外資系企業としての資産をフルに活用しようと考えている。
 例えば、生産面ではヘンケルグループの海外工場を利用すれば、規模の経済を期待することができるだろう。安く作れるようになれば、その分をマーケティング投資に回せるし、積極的な広告展開も可能となる。つまり、グローバル企業として、当たり前のことを当たり前にできるようになること。これが第一歩だ。
 2つめは商品に付加価値を付けること。今まで当社が扱ってきた商品は、比較的単価が業界以下のものが多かった。しかも、今まで海外ネットワークを活用しなかったため原価が高い。つまり、高く作って安く売っている状態だ。これではもうけることは難しい。だからこそ、今後は高く売れる商品、つまり高付加価値で市場の平均価格を上げることに貢献できる商品作りを目指している。それなら我々ももうかるし、卸や小売りの皆様にも喜んでもらうことができるだろう。
 ここまで出来てきたな、と感じられたら別のカテゴリーも出していこうと思っている。来年にもヘアカラー以外の製品を出していきたい。それがシャンプーになるのかボディーケアになるかは、今後の状況を見て考えたい。


 1968年生まれ。一橋大学卒業後、P&Gファー・イースト・インク、ローランド・ベルガーなどを経て、04年にヘンケル ライオン コスメティックス(当時)へ入社。今年4月から現職を務めている。
 趣味も「仕事です」と答える足立氏。つかの間の休日にもビジネス本の読書でつぶれてしまうというが、趣味が高じて洋書の翻訳を手掛けたことも。
 これだけ忙しいと、さぞやご家族から不満が出るのではと尋ねると、「そうですね。妻も最近はあきらめているようで、口数が減ってきているのが気になるところ。夏休みに妻の実家に行ったのが、せめてもの罪滅ぼしかな」と肩をすくめた。

(佐藤)

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