特集 2005.7・8/vol.8-No.4・5

ダイレクトマーケティングは広告を変えるか
新規顧客獲得メディアとしての新聞

 化粧品と健康食品の通信販売会社であるディーエイチシー(DHC)は、新規顧客を獲得し、会員を増やすためのダイレクトレスポンス広告に積極的に取り組んでいる。ダイレクトレスポンス・ビジネスから見たメディア、新聞広告の役割を聞いた。

――DHCが通販事業を始めたのは?
 化粧品の通販を始めたのが1983年です。その時発売したDHCオリーブバージンオイルは今も主力商品の一つとして販売されるロングセラーになっています。健康食品は95年から。今は化粧品と健康食品の通販が主体です。

――コンビニエンスストアやドラッグストアにも販路を広げていますが。
 コンビニで化粧品の販売を開始したのは99年春からです。当初はセブン・イレブンだけの限定販売でした。そのころはまだ化粧品の再販制度が廃止されて間もないころで、対面販売を基本とする制度品システムや訪問販売が一般的でした。そういう常識を破ってコンビニで化粧品の販売を開始したのは、新しい小売業態であるコンビニと新しい事業を展開しようとしていたDHCのお互いの利益と状況が一致した結果だと思います。また、コンビニに販売チャネルを広げたことで、一気に若い層が増えました。店舗側からの要望でドラッグストアなど一般店への販売を開始したのは昨年からです。

――チャネルが広がることで商品のターゲットも広がった?
 すべてのチャネルで大きくしたいし、すべての層で拡大したい。そういう意味で、若い層に広げていくのは重要だと思うのです。やはり、企業は常に新しい顧客を獲得していかないと将来的な繁栄はないですから。

同じ商品をすべてのチャネルで

――通販と店頭販売では商品を変えている?
 よい商品をより安く、どの販売チャネルでもDHCの同じクオリティーの商品を購入していただけるというのが基本的な考えです。ですから、販売チャネルによって商品を変えることは一切していません。実際、ドラッグストアで販売を開始するときも店舗側から同じクオリティーのものが欲しいという要望がありました。
 ただし、DHCには化粧品で600以上、健康食品で200以上のアイテムがありますから、店頭の棚にすべての商品は置けません。やはり、主体は通販で、売り上げ比率も相当大きくなっています。

――店頭と通販の連動は?
 基本的にはコンビニの商品はコンビニで売れてほしいので、通販の情報は載せていません。しかし、同じ商品ですから、通販で会員さんが注文し忘れたとか、なくなった場合も、主な商品ならばコンビニに走れば買えますから、両方利用されている方も多いですよ。

――通販の新規会員の入り口として実際の店舗を考えているわけではない?
 どちらもパイが大きくなることが目標です。最大の目標は、日本全国の皆さんにDHCの製品を使っていただくことです。流通チャネル、通販なら最終的にはフリーダイヤル、インターネット、モバイル、それぞれで売り上げが上がれば、必然的にそうなると思っています。

――既存の流通チャネルとのしがらみがないということが強みになっている?
 確かに、DHCには常識やいわゆる商習慣にとらわれないで、とにかくやってみるという社風がありますね。

リーチはできるだけ速く

――通販のチャネルでは、どのメディアの反響が一番いいのでしょう。
 通販というのは店舗がないわけです。そういう意味ではメディアが「お店」なんですね。ですから反響というより、DHCにとっては、ここで売り上げを立てていくというものです。レスポンスを確実に取るとしたら新聞と新聞折り込みですね。新規顧客を獲得する媒体として使っています。テレビはレスポンスが分からない。見てすぐフリーダイヤルに電話する人はそれほどいないでしょうし、経費に対しての売り上げが計測しにくいメディアです。雑誌はそれぞれ購読層が違うので、やはりそれに合った商品を掲載します。
 もう1つ重要な施策としては、サンプリングがあります。六大都市を中心にほぼ全都道府県で実施しています。DHCの場合は、あらゆる方法を使って、徹底して目標に向かっていくところがありますね。

――メディアの効果を管理する指標というのは?
 全媒体とも、掲載コストに対する新規顧客の総購入金額を指標にしています。

――メディアによって役割を持たせているのですか。
 新商品の場合はすべてのマスメディア、全媒体連動です。全部が同じように動きます。ただ、媒体特性によってターゲットが違いますから、表現が違う。

――例えばテレビは新商品の認知に重点を置くというようなことはしているのですか。
 テレビは認知がメーンですが、その他の媒体はレスポンス重視です。その場合、できるだけリーチを速くしなくてはいけない。新聞広告は、掲載された日にすぐ注文にならないといけないのです。そこを目指した作りですね。読んだ瞬間に注文をしていただける作りになっているか。だから、分かりやすい広告ということを非常に重視します。

――余白があるきれいな広告というのは?
 その方法で確実にレスポンスが取れればいいのですが。実は一度試みたことはありますが、結果はよくなかったですね。
 DHCの新聞広告で一つ誇っていいと思うのは毎回原稿を変えていることです。言ってみれば、これはレスポンスを高めるためのテストを毎回しているようなものです。テレビCMと雑誌タイアップ広告以外は会員誌も含めて内部制作です。社内にクリエイターがいて、スタジオもあります。社員自らが作っていますので、商品に対する思い入れがあるし、スピードもあると思います。

――晩でという時もある?
 それはありますね。数時間の時もあります。

――新聞によってコピーや表現を変えるということもありますか。
 それは変えていません。逆に言えば、同じ原稿なのでレスポンスの違いが比較できるということです。新聞によってレスポンスに差があることは確かですが、やはり一番重要なのは魅力ある商品かどうかです。レスポンスは商品によるところが大きい。それはDHCの責任だと思っています。

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