GLOBAL Interview 2005.7・8/vol.8-No.4・5

ユニリーバ・ジャパン
木下 尚慈氏

ユニリーバ・ジャパン
 1964年に世界最大級の消費者製品メーカー、ユニリーバの日本法人「豊年リーバ」として設立(82年に「日本リーバ」へ社名変更)。以来、パーソナルケア製品の「ラックス」「ダヴ」「モッズ・ヘア」「ポンズ」、ホームケア製品の「ジフ」「ドメスト」、食品の「リプトン」「ブルックボンド」「ラーマ」など、国際的に信頼の高いブランド製品を日本の消費者に届けてきた。
 今年6月1日から世界戦略の一環として社名を「ユニリーバ・ジャパン」に変更。現在、約770名の従業員が働いている。

紙面
 ユニリーバは、1930年に英国の石鹸メーカー、リーバブラザーズとオランダのマーガリンメーカー、マーガリン・ユニとの合併によって誕生した。本社を英国のロンドンとオランダのロッテルダムに置き、毎日、150か国以上の約1億5000万もの人々に、ホーム&パーソナルケア製品と食品を提供する世界最大級の消費財メーカーである。アイスクリーム、スプレッズ(パンに塗るもの)、紅茶飲料、パーソナル・ウオッシュ、制汗デオドラントなどは、世界シェアナンバーワンを誇っている。
 日本でも、グループ会社の日本リーバが「ラックス」「ダヴ」「モッズ・ヘア」「ポンズ」「リプトン」など様々なブランドを展開しているので、ご存じの方も多いだろう。その日本リーバが去る6月1日、社名を「ユニリーバ・ジャパン」に変更すると共に、ロゴも一新した。成功しているにもかかわらず、社名・ロゴを変更した理由と今後の戦略について、同社代表取締役社長 木下 尚慈氏に話を聞いた。

――社名を変更した理由は

 ユニリーバという会社は、少なくとも10年位前までは社名を表に出すことはしてこなかった。むしろ、プロダクトブランドと社名をあえてリンクさせないことを奨励していた会社だった。
 しかし、現在は会社がどういう考えの下で行動し、世界中の消費者から支持されているかをステークホルダーに対してクリアに示す必要が出てきている。そこで、ロープロファイル(=目立たない)から、顔が見えるハイプロファイルな企業になるべく、世界各地でバラバラだった関連会社名を「ユニリーバ」に統一することにした。

――同時に企業使命も発表しました

 ユニリーバが扱う食品とホーム&パーソナルケア製品の共通点は、ご家庭で毎日たくさんの人々に使われる製品ということだ。そこで、私たちは新しいコーポレートミッション(企業使命)として“暮らしに生き生きとあふれる輝きを”ブランドを通じて世界の皆様にお届けすると宣言した。それに合わせ、ロゴもユニリーバを象徴する25のアイコンを組み合わせた明るいイメージのものへ変更した。
 
――シェアナンバーワンを獲得する秘訣は

 シェアというのは弓や刀で取りにいくものではなく、結局、お客様に毎日使っていただいた結果だ。1度使っていただき、「このブランド気に入ったわ」と思われることが重要だが、そのためにはブランドにファンクショナルとエモーショナルという2つのベネフィット(=便益)を持たせることが大切だ。
 たとえば、ラックスでシャンプーすれば、髪がスムーズになるとか香りが良いなどという機能的な効果を感じてもらうことができるが、それに加えて広告やパッケージデザインなどから、ハリウッド女優のようにエレガントに、そして前向きに美しさを追い求め、新しい可能性を切り開いていく自分をイメージすることができる。そういうブランドこそ、お客様の支持を得ることができるし、実際にラックスはそうして日本でシェア1位を獲得している。

――グループ内における日本のポジションは

 「北東アジア、特に日本、韓国、台湾向けの製品開発は、主に宇都宮のアジアテクノロジーセンターで行っている。日本で発売してから韓国や台湾に持っていくことが多い。市場で求められるものがこれらの国々ではとても似通っている。
 日本の市場は特殊だといわれることがあるが、私に言わせれば進んでいるだけ。日本の消費者は製品のクオリティーや安心・安全性に厳しいが、将来は韓国や台湾の消費者もそうなるかもしれない。

――今後の戦略は

  ラックスやダヴ、リプトンなどのブランド1つ1つの世界を広げていく。ラックスの入浴剤やモッズ・ヘアのカラーリングなどが良い例だ。
 もちろん、海外のユニリーバで扱っておきながら、まだ日本に入ってきていないものも数多くあるわけだから、その中から日本市場にも受け入れられるブランドを吟味し、展開していきたいと考えている。
 


 1944年生まれ。95年、日本リーバ(当時)入社。その後、取締役食品事業本部長を経て、2004年4月から現職を務めている。
 「社長になってから、社員1人1人の体調や顔色が気になるようになった。いつも明るい人が暗そうな顔をしていれば、どうかしたのかと聞くこともある。非常に調子の良い人はまあ、放っておくと(笑)」
 趣味はテニスとクラリネット。特に後者は年に2回コンサートを開くなど、玄人はだしの腕前だという。
 「最高齢のアマチュアクラリネット吹きとして、ブラームスをちゃんとプロのように演奏できること。これが今後の最大の目標かな」
(佐藤)
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