新聞広告の色彩学 2005.6/vol.8-No.3

水・風・土の自然色
4月13日朝刊 高島屋 4月24日朝刊 日立製作所 4月21日朝刊 ジャパンゴアテックス 4月23日朝刊 濱田酒造
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 風薫る、風光るとよくぞ言ったり。暖かい太陽の光が体にそそぎ、さわやかな風が肌に触れ、茂りを見せはじめた木々が若緑の薫りでさそえば、しばしふだんの疲れを忘れる。自然の変化が一番アピールする季節になった。古代ギリシャでは、自然は火水風土の4つの力が動かすと考えたが、4月の広告にはそのうちの3つが顔を出した。これは偶然だろうか、人間をはつらつとさせる自然の力を現代のわれわれも感じている証拠であろうか。

 「感じるのは軽さ」のゴヤールのトランク、バッグの広告は、水の波紋が快適画面をつくっている。水が語りかけるその「重み」に同感。我らは水性民族、うるおう水がぴったりで、古池もいいし清流もいい。だが厳しい岩組みだけの枯れ山水は、個人の家にはとても向かないだろう。トランクのヘリンボン模様が日本では矢筈(やはず)となって、これはVマーク。

 日立の広告は風だ。あらゆるシーンでのセキュリティーという安心技術は、どんなものにも鍵穴をつけて風を通さす。保護とか暗号化という言葉は今日的イメージだが、安心社会は日本の伝統だった。そう言えば鍵穴の形は人間自体のようだ。明るい風が通っていれば心だってとても明るい。もちろんその明るさは、太陽の白色光がつくっている白なのだ。

 大地は我々が立つ根拠。その大地にゴアテックスが直結した。足元が明るいとか足元を見るというが、その足元を守るのが靴だ。ムレを防ぎ水にじみを防ぐ。そうなれば足元はすこぶる万全。雨風泥土は大地の3セットだから、それに強いは人生の教訓ともなる。

 掉尾(ちょうび)は百薬のチュウ。薩摩スピリッツは日本スピリットです、と意気込む金山蔵の広告。土の色が心のやすめ色である理由は、母なる大地という言葉が表していよう。焼酎が1日の疲れを癒やせるのは、どこかに土の香りを染み込ませているから。黒い土と芋と手がそんな豊かな大地の癒やしの恵みを最高に保証しているだろう。素直にカンショにカンシャだ。
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