企業訪問 2005.6/vol.8-No.3

ナンバーワンプレミアム自動車メーカーを目指して
 昨年、全世界で100万台以上ものBMWが売れたという。世界中のドライバーを引きつけてやまないBMWブランドの魅力について、BMWジャパン マーケティング本部長 ピーター・ファン・ビンスバーゲン氏に話を聞いた。

ピーター・ファン・ビンスバーゲン氏   BMWは1916年、ドイツ・バイエルンで航空機エンジンメーカーとしてスタートした。BMWという社名も「Bayersche Motoren Werke」、つまり“バイエルンのエンジン工場”を意味する3つのドイツ語の頭文字から付けられたという。航空機エンジンメーカーの名残は、今でも車のボンネット先端に位置する、白い雲と青い空、そして航空機のプロペラをモチーフにデザインされた鮮やかなエンブレムに見て取れる。
 創業から約90年が過ぎた今日、BMW、MINI、ロールス・ロイスという3つのプレミアムブランドを傘下に抱える高級車メーカーへと成長を遂げ、2004年にはグループ全体で120万8000台を全世界で販売。前年比9.4%増という記録を打ち立てた。
 日本でも過去最高となる5万1757台を販売(前年比5.7%増)。BMWブランド単体でも3万8715台を販売し、2年連続で記録を更新。MINIも1万3042台と過去最高を更新した。
 日本自動車輸入組合(JAIA)によると、昨年1年間に販売された輸入車数は、前年比2.1%減の27万2880台だったという。不調の原因としてユーロ高による値上げの影響や長引く不況などが言われている。その中で同社は、今年もBMWブランド単体で5万台を販売目標に掲げるなど、不況に苦しむ他社を横目に1社好調を維持している。
 
DNAは「駆けぬける歓び」

 好調の要因として、独BMW日本法人、BMWジャパン マーケティング本部長 ピーター・ファン・ビンスバーゲン氏は「BMWグループが世界規模で進めている2つの戦略、すなわち市場攻勢と製品攻勢がうまく機能した」と分析する。市場攻勢とは強力なディーラー網の整備を意味し、製品攻勢とは従来の3、5、7シリーズに加え、昨年だけでも新たに6、X3、1シリーズが投入され、製品レンジが格段に広がったことを意味している。
 「追加されたいずれのモデルにも『駆けぬける歓び』というBMWのDNAを継承させている。お客様の期待に最大限応え、もしくはそれを超えるような商品作りを積極的に行ってきた」と語る。
 マーケティングスローガン「駆けぬける歓び」とは、BMWのブランド価値=運転する歓びを端的に表現した言葉だという。
 「BMWのブランド価値は運転に集約される。ただ、実際に車を購入するお客様にとって、車を買うとはライフスタイルを買うことを意味することがある。言い換えれば所有する歓びだ。だからこそ、ブランドを体験するショールーム、すなわちディーラーとの協調体制強化が重要となる。その場所で、所有する歓びをくすぐらなくてはならない」

積極的かつ革新的な広告展開

 同社はBMW各モデルの先進性や性能の高さをアピールするために、積極的かつ革新的な広告展開を行っている。その1つの例が、3月に新宿と汐留で展開された日本初の体感型広告だ。これは、同社初のプレミアムコンパクトセグメントである1シリーズの追加モデル発表時に合わせたもので、新宿駅南口の動く歩道に設置された「ウォーキング・サブメディア」では、人が歩道を移動するスピードに合わせ、壁面ディスプレー上の車の静止画をパラパラ絵本の原理で動画のように見せ、汐留・日テレプラザで展開された「センサーパネル」では、人が床面に投影された映像に触れるとインタラクティブに映像を変化させ、道行く人々を驚かせた。
 こうした試みについてビンスバーゲン氏は「新しいお客様と対話を始めるために新しい手法を使ったが、そもそもBMWのブランド価値には『革新的である』ということが含まれている。広告手法を考えるときも常に新しいもの、前回より優れているものはないかと発想する」と語る。
 このように、新しいメディアを使用する一方、従来メディア、特に新聞は有効なマスメディアだと話す。
 「日本のメディアは新聞を除くと比較的細分化されており、マスという意味で新聞は強大な力を持っている。また、消費者からの信頼度も他の先進国に比べて高い。だからこそ、新聞広告はブランドを醸成することにも、ショールームにお客様を呼ぶことにも使えるのだ」

7年ぶりのフルモデルチェンジ

 BMWジャパンは、今後日本において台数、ブランドの両面でナンバーワンプレミアム自動車メーカーを目指すという。それを具現化する第一歩として、去る4月13日、BMWにとって最も重要なモデル「3シリーズ」を7年ぶりにフルモデルチェンジさせた。前モデルは国内販売総数の約半分を稼いだだけに、同社の力の入れようは新聞広告にも見て取れる。「3シリーズは『スポーツセダン』というカテゴリーを打ち立てた車だ。販売台数だけでなく、BMWというブランド価値を象徴する意味においても、3シリーズの果たす役割というのは大きい」
 今後、さらにクーペやカブリオレをはじめとする魅力的なモデルの投入も控えているという。“ナンバーワン”になる日も、そう遠いことではなさそうだ。

紙面
BMWジャパンは、7年ぶりに3シリーズをフルモデルチェンジし、4月13日から全国のBMW正規ディーラーを通じて販売している(5月13日朝刊)


(佐藤)
もどる