今月のデータ 2005.6/vol.8-No.3

「情報の達人」のメディア利用状況と新聞の評価
 メディアが多様化する時代の広告戦略では、情報を積極的に使いこなしインターネットなどを通じて伝播(でんぱ)させる「中心的な人物」にアプローチすることが有効になってくる。日本新聞協会の「2003年全国メディア接触・評価調査」では、パソコン・インターネットの操作能力を含む「情報(処理/識字)能力」について、26の「情報リテラシー尺度項目」を定め、その階層別に見た分析を行っている。今回はこの情報リテラシー分析軸に注目して「情報の達人」のメディア利用状況と新聞の評価について紹介する。


 情報を高度に使いこなす「中心的な人物」は、複数のメディアから情報を得て、かつ相互確認を自然に行っていると考えられる。
 図表1は、特に新聞を複数の情報ソースの橋渡し役=「ハブメディア」と位置づけ、新聞と他メディア間のニュース確認経路を情報リテラシー別に見たものである。「新聞以外のメディアで知ったニュースを新聞で確認する」(In)、「新聞で知ったニュースを新聞以外のメディアで確認する」(Out)ともに、ラジオと雑誌については、情報リテラシーの高低によるスコアの差はあまり見られない。一方、テレビは特に「Out」で情報リテラシーの高い層よりも低い層のスコアが高くなっているのに対し、インターネットは「In」「Out」ともに情報リテラシーの最も高いHH層(※ページ下部参照)のスコアが他を大きく上回っている。全般的にテレビのスコアが高いことから、新聞とテレビが緊密な補完関係にあることは明らかではあるが、情報収集に積極的で情報を使いこなす能力の高い人にとっては、新聞とインターネットの親和性は高く、特に新聞がネットへのポータルとして機能していることがわかる。



 次に、リテラシー階層別に新聞がどう評価され、生活に浸透しているのかを見てみよう。日本新聞協会では、新聞が日々の生活や社会におよぼす影響力を、「社会」「生活」「教養」という3つのシーンへの「浸透力」ととらえ、分析を行っている。図2を見ると、いずれのシーンに対する浸透力でも高リテラシー層ほどスコアが高い。新聞を読むという行動は、毎日の習慣として人々の生活に根づいているが、特に高リテラシー層への浸透度は高いといえよう。



 インターネットを使いこなし、自らが情報発信者として活躍する高リテラシー層は、必ずしもネットの世界のみに安住しているわけではなく、新聞など他メディアの価値を認識し、活用している。
 今後は、情報の内容やジャンル別に「中心的な人物」のメディア接触に関する特徴を洗い出すなど、さらに詳細な分析が必要になってくるだろう。

※情報リテラシー尺度は「コミュニケーション・情報共有」「情報判断・メディアリテラシー」「情報収集」「情報処理」「情報投資」「情報発信」「スキルファクター」の7つの項目群に分類されており、具体的には「いろいろな友人・知人と情報交換をする方だ」「一つの情報を複数の情報源で確認する方だ」など26項目の設問によって、情報リテラシーに関して幅広くリサーチしたもの。
 各項目を段階尺度(5段階)で聞き、「あてはまる」から「あてはまらない」の回答ごとに5〜1点の得点を与えて個人ごとに積み上げ、合計をその個人の「情報リテラシー得点」とした。次に「情報リテラシー得点」により回答者を4つに分類し、得点の高い方からHH層(88点以上)、H層(78〜87点)、L層(65〜77点)、LL層(65点未満)としている。各層の構成比と新聞閲読時間は以下のとおり。特に朝刊は、情報リテラシーが高い層ほど接触時間が長いことがわかる。
(詳細はウェブ上の報告書http://www.pressnet.or.jp/adarc/rep/index.html参照)

2003年全国メディア接触・評価調査
調査地域 全国
調査対象 15歳以上69歳以下の男女個人
標本抽出 住民基本台帳からの層化2段無作為抽出
調査方法 訪問留め置き法
サンプル数 6,000
有効回収数(率) 3,873(64.6%)
調査期間 2003年10月4日(土)〜10月26日(日)
調査主体 (社)日本新聞協会 広告委員会
レターヘッド・実査 (社)中央調査社
(鎌田)
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