新聞広告の色彩学 2005.5/vol.8-No.2

浅春は水色、セピア色
3月25日朝刊 トヨタ自動車 3月1日夕刊 伊勢丹 3月30日夕刊 TBS 3月28日朝刊 富士ゼロックス
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 愛・地球博が、未来にゴーと3月25日スタートした。語呂合わせは日本語の特有技だが、それの完成が江戸時代だったのを思い起こすと、何やら「ウン↑?」という気がしなくもない。持ち込み弁当の即ゴミ扱いのトラブルは首相の一言で無事解決したが、ディズニーランド方式をむやみに採択した民意との違和感は、生活感覚を欠いたとことん錯覚だ。

 そんな後ろ向きの話はさておき、トヨタグループの未来をとらえるロボットは人間と結びつく科学技術日本の自負を前面に押し出した。宇宙を目ざす工学色は空色水色浅春の色だが、淡い輝く色が未来の科学色。きっと山笑い人も笑う春を運んでくれるに違いない。

 そこで「私から、笑おう」と伊勢丹の緑色広告。このうちのだれがリンゴをもらって本当に笑うのかというギリシャ神話以来の3美女だが、パリスのかのリンゴも緑色だったのか。だが、彼女らがまとう緑色は、もうじき訪れる春を待つ森の妖精の服色に違いない。

 哲也・熊川の躍動感あふれる画面の色調はセピア色。セピアはイカの墨の色で、イカ墨は早くも『枕草子』におそろしい名前のものとして鬼ナニナニと並んで現れていた。もっとも現代の英語では「昔の写真の色」という意味しかないようだから、赤褐色系統のなつかしい故郷色というところか。3月の広告はこのセピア色をもつものが多い。いわく、東急グループの「明日へ、一歩」、ネスカフェ「ゴールドブレンド」、ヤマハ「アビテックス マイルーム」、マイクロソフト「we see」、キヤノン「EOS Kiss Digital」、ナショナル「イーユ」、ウィダー「サプリメント各種」、ブルガリ「アクア」、東京メトロ「東京スピード」等々。セピアは煙った感じの色だから、ボウとしてまさにぴったり春霞(がすみ)の色。

 富士ゼロックスは「廃棄ゼロ」の水の惑星を守る環境広告。つい先ごろの大地震、大津波の被害地域を含めて、地球を平和の環境色水色が覆う日が近からんことをと願おう。
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