From Overseas - London 2005.5/vol.8-No.2

競馬のほうが大事です?
(1)4月7日 タイムズ紙 (3)4月7日 ガーディアン紙
(2)4月9日 タイムズ紙
 日本でもワイドショーを中心にメディアをにぎわせたであろうチャールズ皇太子とカミラさんの結婚式が4月9日執り行われた。
 結婚式といえば記念グッズ。皇太子の結婚式でも多数発売された。たとえば(1)の広告はロイヤル・メール(英郵政公社)が発売した記念切手のもの。50の齢をとうに過ぎても初々しい2人の姿が2種4枚の切手に収められている。
 記念グッズのほか、王室の慶事で掲載される広告といえば祝賀広告。日本で多いいわゆる名刺広告と違い、企業が独自色を出していた。(2)の広告は、1888年の切り裂きジャック事件を始め、イギリスの血塗られた歴史を疑似体験できる遊園地ロンドン・ダンジョンのもの。
 本人が気に入っていないらしい大きな耳が血に染まったチャールズ皇太子と、骸骨顔のカミラさん。イラストの横には、英国国教会式の結婚式の宣誓文から「For Better for WORSE」、つまり「2人の将来が良かれ悪しかれ(富めるときも貧しきときも、病めるときも健やかなるときも…と続く)」とある。「WORSE」のほうだけ大文字であるのはご愛嬌。もちろん「不幸の御用達を務めるものより祝福を送ります」と祝辞も忘れていない。
 (3)の広告はイギリスにおける王制を廃止し、共和制導入を主張する政治団体リパブリックのもの。王冠をいただいた皇太子とカミラさんの風刺画とともに「今こそ王室の茶番を終わらせるときだ」と主張している。
 確かに今回の婚礼を「茶番」と感じる人は少なくない。この2人の交際が始まったのは1970年代初め。ともに結婚をして子供をもうけたが、この間も関係が続き、それぞれが離婚をする前から交際が公になっていた。
 今回の挙式に際しては、結婚後のカミラさんの称号や、皇太子が国王に即位した後の称号を巡って議論が紛糾。結局「皇太子妃」や「王女」を使用しないことで落ち着いた。元皇太子妃に同情的な世論に配慮した結果である。
 また、結婚式の10日前には、皇太子がテレビのインタビューに応じた際、小声でもらした記者への悪口をマイクが拾ってしまい物議をかもした。さらに、ローマ法王の死去にもかかわらず結婚式を1日しか延期しなかったなど、皇太子批判を展開する材料はいくらでもころがっている。つまり、チャールズ皇太子の資質を問う声が高まっていること、女王がすでに高齢であること、総選挙を5月5日に控えていることなどから、リパブリックが広告を出稿するタイミングとしてはこの上ないものだった。デイリー・メールなど一部の新聞から掲載を拒否されるというおまけはついたが。
 さて、2人の姿を一目見るため、9日ロンドン郊外のウィンザー城周辺に集まった人の数は約1万5000人。一方同時刻に行われていたサッカーのプレミアリーグ6試合の平均入場者数は約3万2000人。結婚式の後に行われたイギリス競馬のグランド・ナショナルへの入場者数は約7万人。この競馬レースについては、結婚式の日程変更とテレビ中継の都合によりスタート時間が変更になっていた。競馬好きで名をはせるエリザベス女王が中継を見られるように、主催者側が気を使ったという話もあるが。

(4月10日)
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