新聞広告の色彩学 2005.4/vol.8-No.1

黒だって色だって
2月20日朝刊 読売巨人軍 2月15日朝刊 電源開発 2月1日朝刊 マグレガーゴルフジャパン 2月2日朝刊 三菱自動車
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 私は根っからの野球ファンだ。戦後の草野球でよく語られるように私の場合も手製道具だ。多少手先が器用だったから、球の芯にはビー玉など入れて反発力の工夫もした。もちろん布球は投げるときに力を加えると変形して、カーブ、シュートと自在に変化した。それで気分よく野球に熱中し、墨塗り教科書を忘れて遊びまくった。以下も黒々の物語り。

 巨人よ今年はガンバレ。黒は強いぞ。だが「最後の一球までわからない」というコピーがちょっと気になる。勝ったと思った試合が土壇場で何度コケタか。今度は他チームの応援団が沈黙するほどのぶっちぎり勝利という試合で、とことんため息をなくしてほしい。

 今年2月、京都議定書が発効したと、Jパワー 電源開発の広告は白砂が描く海上に黒の庭石の世界地図で示した。議定書では地球温暖化の主原因の炭酸ガス削減がうたわれるが、東京の排ガスは鼻毛がよく伸びるほどにすごい。炭酸ガスは光合成の材料だから植物がたんと増えれば見込みありだが、排ガスのほうは陸上昆布でも開発しないかぎりどうにもならないようだ。かつて江戸紫、京紫ともてはやされたが、今は東京黒と京黒か。着物の黒色では京染めには敵わないという歴史もあったが、本気で東京も考えずばなるまい。

 次なるは、乗用車のヘッドにも似る、マグレガーのドライバーのヘッドの広告だ。色の感じは黒の参加でぐんと強くなる。チタン合金とタングステンの硬さがシンと静まり返って「トブーッ」と印象づけている。前のGは巨人と議定書の頭文字だったが、このNVGのGは、青色と紫色が黒と組んで、本当の世界と地球に向けてのGマーク宣言となった。

 春霞ならぬ砂漠の砂塵(さじん)の広告は、三菱自動車のダカールラリー総合優勝の技術報告だ。その仲間が春先日本に飛来するが、地上ではむしろ黒ずんで見える。つまり黄色も黒の仲間。赤色に黒の車は黄漠に2番手を引き離して速い。モヤモヤ空気をすッ飛ばす快走だ。
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