From Overseas - NewYork 2005.4/vol.8-No.1

土曜版再開のウォール・ストリート・ジャーナル
 日刊紙といわれながら、アメリカでは週末や祝日は休刊となってしまう新聞が少なくない。アメリカを代表する経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)もそのひとつで、同紙は土曜、日曜、祝日は休刊となってしまう。
 そのWSJが今年の9月から土曜日の発行を「再開」することとなった。「再開」と書いたのは、1953年まで実はWSJも土曜日発行を行っていたからである。しかし、市場が土曜日を閉鎖するのに合わせ、WSJも土曜日を休刊するようになった。
 それから半世紀がたった今、なぜ、市場が動いていない土曜日にもかかわらず、WSJは土曜日発行を再開するのか。その理由の一つとして、広告ソースを広げたいというWSJの思惑が挙げられる。
 ITバブルがはじけたことや通信、金融といった業界の再編が進んだことにより、いわゆる「B to B」広告の需要は落ち込んでおり、これがWSJの広告収入の伸び悩みにつながっている。アメリカの新聞は少なくとも収入の半分以上、中には収入の80%を広告収入に頼っている社もあり、広告収入の伸び悩みは経営を圧迫しかねない。
 そこで、WSJが熱い視線を送っているのが一般消費者向けの広告で、こうした広告を取り込むために先ずは器づくりが必要となる。
 土曜版では、三つのセクションが発行される予定で、一般ニュース、金融や一週間の市場を振り返るセクションのほかに、ライフスタイルのセクションを発行する。しかし、ここに至るまでには平日版においても様々な紙面改革が行われ、一般消費者向け広告の取り込みにおいて一定の成果を挙げることに成功した。
 まずは1998年に「ウイークエンド・ジャーナル」セクションを毎週金曜日に折り込むことを開始、2002年には「パーソナル・ジャーナル」セクションの発行を開始、毎週火曜日から木曜日までの3日間に折り込まれるようになった。こうしたセクションでは、映画や演劇、ファッションなど、これまでのWSJでは考えられなかったような記事を並べた。そのかいあってか、「ウイークエンド・ジャーナル」の広告収入は年間5,000万ドルを達成するまでになったという。
 日本の新聞の1面は書籍広告を対象とした小スペースが設けられているが、アメリカでは一般ニュースセクションの2〜3面はファッション関連広告を対象にした小スペースが設けられており、WSJも例外ではない。ところが、小枠では埋没しがちと考えたのか、木曜日のみ通常の記事下広告スペースも設けるようになったが、これも月曜日から金曜日まで連日設定し、他社とは一線を画すことで高級ブランド広告のさらなる取り込みを目指すという。
 一般的にアメリカの各紙では日曜版のボリュームが平日の3〜4倍に達し、これが新聞社の最も大きな収入源とされているが、土曜日は一週間の中で最も販売部数が伸び悩む日だといわれており、WSJの土曜版が果たして定着するのか疑問視する向きも少なくない。
 WSJ読者の約3割が職場で購読しているといわれている。同社ではこうした読者を対象に土曜版だけは自宅に配達する意向で、告知広告などを通じて自宅住所の確認作業に入ったが、確かに平日版と同程度の販売部数を維持するのは難しいかもしれない。
 とはいえ、WSJでは発行開始当初は平日版とほぼ同部数、いずれは平日版の部数を上回ると強気の見通しを立てている。広告主は土曜版が定着するかを見極めた上で出稿の可否を判断すると広告会社の関係者は見ており、発行再開後の読者の反応に注目が集まるはずだ。

2月23日 ウォール・ストリート・ジャーナル紙
(3月10日)
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