ojo interview 2005.4/vol.8-No.1

小沢 正光氏
小沢 正光氏

 「Always positive, never give up」が信条だ。入社早々に作ったCMプランが上司から「重い、暗い、わからない」と酷評されたときも、「『重い』は性格、『暗い』は人生観で直らない。でも『わからない』は技術を磨けばいい」と前向きに粘り強く考えた。31年後の今では「プレゼンの達人」と評される。
 「スーパードライ」など数々のブランド作りを手がけた経験から、ブランドを「生活者の期待に対する企業の約束」と定義。家族の中で3世代に継承されてこそ本物で、それを具体的な表現活動の積み重ねで作っていく“ブランディング”は広告会社の仕事との自負がある。博報堂の企業ミッション「パワーブランド・パートナー」――その旗振り役を担ってきたほか、昨年12月から初代CSRコミュニケーション室長も務めている。
 「ブランディングもCSRも、お題目を唱えるだけでなく、具体的な活動が求められる点では同じこと。CSRのRは『責任』という直訳ではなく、社会への『対応能力』と解釈すればわかりやすくなります」
 塾講師などのアルバイトを通じて「人に物事を整理して伝える」魅力に目覚めたのは、東京教育大学在学中のこと。
 コミュニケーションには、相手の気持ちを動かす「結婚」タイプと、様々な問題を整理して折り合いをつける「離婚」タイプがあるという。「離婚の時に『愛は大事だよ』なんて正論を吐いても何も解決しませんよね。それは環境問題などに現実的な対応を迫られる企業活動も同じです。利害関係を調整して皆で行動を起こすには、どちらも必要なコミュニケーション手法なんです」
 時間があれば新書を「週刊誌のように」濫読(らんどく)し、休日は「一日中ぼーっと考え事をして」過ごすが、趣味は「仕事」。仕事以外でしたいことは?との問いにはしばらく考えて、「過酷な思い出ばかりのCFのロケ地をもう一度訪ねてみたいですね。同じ風景でも違って見えるんだろうなあ」。

文/横尾一弘  写真/はやしたつお

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