Creativeが生まれる場所 2005.4/vol.8-No.1

武田薬品工業「新アリナミンA」 「朝の疲れ」が問題だった
古田彰一氏  今回の新アリナミンAの広告コンセプトは、「いかにして現代の疲れにアプローチするか」でした。多くの現代人は、慢性的な疲労に悩んでいます。でも日々の忙しさの中で、その解決をあきらめてしまっている。まずは、自分の疲れときちんと向き合ってもらうことが、新アリナミンAを買う新しい理由につながると思いました。
 新アリナミンAは1日1回服用の製品で、朝のむ人も夜のむ人もいるそうです。僕の場合は、夜のむと翌朝の目覚めが快適なことを実感。と同時に、1つの発見をしました。それは「朝が変われば、1日が変わり、毎日が変わる。朝の疲れこそが問題なんだ」ということ。つまり、現代の疲れを解決するキーワードは「朝」だったのです。

決めつけない広告

 疲れ、という抽象的なことがらを表現するには「言葉」が適しています。疲れ方もさまざまですから、ビジュアルを排したほうが「じぶんごと」としてとらえてもらうことができる。しかも企業の言葉ではなく、普通の人たちの飾り気のない言葉に見えることを目指しました。クライアントへのプレゼンテーションもコピー案だけで臨みました。
 メディアも、朝というテーマにふさわしいものとして、新聞の朝刊と交通広告を選択しました。実は最近「面白い」と思っているメディアは新聞です。もともと新聞はテレビとの対比でよく語られますが、インターネットの登場によって、その両者に挟まれる形になりました。新聞は、インターネットのブログのように個人の決めつけで書くわけにいかないし、テレビのように映像をポンと提示して結論をゆだねるわけにもいかない。解釈することから逃れられず、解釈をしすぎてもいけないという、曖昧(あいまい)な立ち位置です。でも一方でこの曖昧さは、「人」を感じさせます。もっとも客観的で冷静なメディアだと思っていた新聞が、インターネットのおかげで、新しい温度を持ちはじめている気がするのです。
 今回のアリナミンの広告で目指したのは、「決めつけない広告」です。こういう新しいアプローチを生み出す土壌が、まだまだ新聞にはあるのではないでしょうか。

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