AD FILES 2005.4/vol.8-No.1

「一人ひとり」との接点を広げる企業広告シリーズを展開
谷 由里香氏  1月28日に創業五十年を迎えたベネッセコーポレーションは、1月から3月にかけて、3回シリーズの企業広告を掲載した。1995年にコーポレートフィロソフィーである「Benesse(=よく生きる)」に社名変更して以来、ほぼ10年ぶりの企業広告だ。

ロゴを隠してもベネッセとわかる広告を

 「『ベネッセは教育についてきちんと考えています』ということをお客様に再認識してもらいたいと思いました」と語るのはHQマーケティング本部マーケティング企画部の谷由里香氏。赤ちゃんからお年寄りまで「一人ひとりの『よく生きる』を応援する」という企業理念のもと、「教育・語学・生活・介護」を幅広く事業領域とする同社だが、これまでは個別の商品・サービスごとにコミュニケーションをはかってきたという。「ベネッセで展開している事業が具体的にどういう事業なのかを分かってもらい、お客様に我々との多くの接点に気づいてもらうことで、ベネッセ全体のイメージをさらに好転させていこうと考えました」
 「一人ひとり」を強調するため、様々な男女の笑顔を自然なスナップ風に撮った写真を使ったシリーズ広告は、赤、緑、青のベースカラーや写真のレイアウトなどとともに、メーンの訴求内容を毎回変えて展開した。初回はベネッセの基幹事業である「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」などの直接的な「学び」を実現するための商品・サービスにフォーカス。二回目は、ベルリッツなどの「語学教育」をメーンに訴求した。三回目は、これまでの研究機関を統合した「教育研究開発センター」の設立や、4月から東大の寄付講座が増えることなどを中心に、教育事業の支えとなる「基礎研究」に焦点を当てた。「特に気を使ったのは、それぞれの事業支援につながるようにベネッセらしいメッセージを伝えることです。『よく生きるを応援する』というのは、最近では銀行やハウスメーカーなども言っていることなので、ブランドロゴを隠してもベネッセの広告であることがぱっとわかるようにしたいと思いました」。
 
週末掲載で親子に訴求

 2003年に就任した森本昌義社長が、「教育のベネッセを強化し、そこで信頼を得ていくことで、介護や生活分野の事業にも必ず波及効果が出てくる」ことを企業方針として折に触れて言明していたため、「今回の広告に対する社員の反応にも納得感がありました」。
 1月28日には、創業50年記念で公募した論文・美術作品の入選発表と、岡山の本社で1年間開催される「教育へのヴィジョン」展の告知を全ページ広告で行った。その2日後からシリーズ広告の掲載を始めた理由について、「企業広告はきっかけがないと唐突感があります。そこで、創業記念日を起点にして、そこからメッセージを組み立てていこうと考えました」と谷氏。
 今回の企業広告は全国の43の新聞に出稿したが、閲読時間が長い週末に親子で見てもらえるように日曜付を中心に掲載日を設定し、完全に忘却される前に次を見てもらえるように考慮して、掲載の間隔を1か月以内とした。また、新年度に向けた営業サポートとして、DMの効果を高めるように掲載スケジュールを組んだという。「新聞広告はじっくり読んでいただけて、保存性があるということで、こちらが言いたいことをしっかり伝えられるメディアだと思います。今回は、特に親世代をターゲットにしています」
 新聞広告の掲載後にはホームページのアクセス数も上がったという。今年立ち上げた「教育情報サイト」は、保護者や教育関係者に向けた教育関連情報のゲートウェイだ。「教育について知りたいときに気軽に立ち寄ってもらえるサイトを目指しています。最近は知りたいことを自分で調べようという人が増えており、インターネットはお客様との接点をどう作っていくかという意味でも重視しています。今後はインターネットの機能を組み入れた教育商品・サービスにも力を入れていきます」

継続的なコミュニケーションで、企業理念を伝えたい

 ホームページには、ベネッセのCSR(企業の社会的責任)として、「他には類を見ない価値を提供し続けることにより、『現在も、将来も、社会になくてはならない存在』の企業になることを目指す」とある。「一人ひとりのお客様の積み上げが何百万の会員になり、会社を支えているという意識は社員全員に徹底されています。教育を軸にやっている会社なので、お客様の信頼を損なわないことが第一であり、今まで当たり前のようにやっていたことが現在のビジネス用語でいうCSRだと理解しています」
 これからも節目をとらえて、企業広告を続ける予定だ。「かつて進研ゼミをやっていた方が保護者になっている時代です。お子様を通じて再び出会ったお客様に、我々の商品・サービスが時代と共に成長していることを伝えることも大切だと思います。ベネッセが『よく生きるための教育支援を行っている企業』であることをお客様の記憶にとどめてもらうために、メッセージを発信し続けていきたいと思います」

1月28日 朝刊 1月30日 朝刊
2月27日 朝刊 3月20日 朝刊

(横尾)
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