特集 2004.12/vol.7-No.9

変化に対応するメディアの使い方
伝えたい情報の「質」に合わせた媒体の使い方

 カゴメが8月に新聞を使い、トマトに含まれる「リコピン」をテーマにしたシリーズ広告を展開した。食品・飲料といえばテレビCMという考え方が従来はあったが、なぜ新聞広告なのか。そのねらいを聞いた。
 
 カゴメの商品はトマトを使っているものが非常に多く、トマトジュース、トマトケチャップ、ホールトマトはもちろんですが、その他にもトマトが使われている商品は数多くあります。
 今回の新聞広告では、広告の中に商品は登場していませんが、消費者の方々は、「カゴメ≒トマト」というぐらいのイメージを持たれているかと思います。トマトの力、そしてトマトの赤い色素である「リコピン」の力を理解してもらうことが、結果としてトマトを中心としたカゴメ商品の理解につながる、という前提に立って作られた広告です。そういう意味では、「企業広告」という側面だけではないと思っています。
 「リコピン」はトマトに含まれる赤い色素のことであり、活性酸素を消去する抗酸化作用があります。私たち人間の健康に深くかかわっているリコピンをケミカルなイメージではなく、ナチュラルなイメージで伝え、理解してもらおうというのが広告表現で配慮した点です。

なぜ飲むのか、食べるのか

 食品・飲料というジャンルの広告に、なぜ「理解」を目的とした広告が必要になってきたかといえば、一つには、特保(特定保健用食品)や機能性飲料といった商品が市場に増え、カゴメが従来から扱ってきた野菜飲料の価値が、消費者に伝わりきらず、その存在感が低下してきたという状況になってきたことがあります。
 言い方を変えると、特保や機能性飲料が世の中に出てきてから、食品・飲料の訴求ポイントが変わってきた。カテキンやポリフェノール、ナットウキナーゼ、アミノ酸といったさまざまな栄養素とその機能価値が世の中に登場してきたということです。
 事前の調査では、残念ながら「リコピン」の認知率は4割、機能については、ほとんどの人に理解されていませんでした。
 自分にとって、どのような健康メリットがあるのか、ということが具体的にわからないと、今の消費者は動きません。野菜の持っている、自然由来の素材が持つ、具体的な機能や効能を伝えることで、ほかの機能性飲料を含めた健康食品とは違う切り口で対抗していく。そのためには、「リコピン」の機能を理解してもらうことが必要でした。

読んで理解してもらう

 新聞広告は読んで理解するメディアですから、今回の目的からは必然的な選択でした。15秒のテレビCMでは伝えきれませんし、30秒でもよほど工夫しないと伝えることがむずかしい内容です。
 もちろん、より多くの人に知ってもらいたいということから、新聞のリーチの広さも必要でした。
 また、男性ターゲットをねらいたいという意図もありました。トマトジュースの消費量は、男性6割・女性4割という感じですが、そのうち、ヘビーユーザーである40代・50代男性が全体の四割程度を占めているからです。
 ほかに使用したメディアも、電車内の広告、雑誌といった印刷メディアで、「トマト大学」というサイトも、トマトに関してより理解を深めてもらうことを目的につくったものです。
 「トマト=リコピンのすごさ」をより深く理解してもらうことで、新規ユーザーを取り込んだり、休止ユーザーに再度飲んでもらうことがポイントでした。

生活者に強く伝わるか

 年間でトマトジュースの出荷量が一番多いのは8月になります。一般の方にはあまり知られていないかもしれませんが、その年に取れたトマトで作られた商品が7月後半から一斉に店頭に並びます。カゴメでは、それが年間を通じて最大のイベントになっています。以前に比べ、トマトジュースの月別出荷量は平均化されてきましたが、やはり今でも8月初旬が一番多い。実は、今回の広告の掲載もこの時期に合わせています。
 シリーズ広告も、一定の間隔を置くべきか、連続出稿すべきかむずかしいところですが、今回はインパクトを優先して連続出稿を選択しました。1回読んでくれた人が、2回、3回と読んでくれたほうがより理解が深まり、今回の広告目的に沿っていると判断したからです。
 媒体選択やその使い方は、あくまで広告目的によって決まるものです。雑誌は新聞と同じように購入して読むものですから、やはりターゲット関与度が高い媒体です。また、一気に認知率を上げたいならテレビですし、理解を深めたいなら新聞になる。
 「広告到達率」というようなシミュレーション上の効率論だけではなく、「生活者にいかに強く伝わるか」という効果的な側面を重視した場合、必要なら使うということです。

2004.8.6 朝刊 2004.8.7 朝刊 2004.8.8 朝刊




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