特集 2004.12/vol.7-No.9

変化に対応するメディアの使い方
発の企業広告を新聞を機軸に展開する

 9月5日から3回シリーズで出稿した新聞広告は、ミツカンにとって創業以来初めての企業広告だという。商品広告中心、テレビ広告中心のミツカンが、コーポレートブランド戦略で新聞広告に軸足を置いた背景と具体的展開を聞いた。
 
 1804年の創業から今年で201年目を迎えたミツカンですが、これまでは企業広告をまったくやらない会社でした。1984年にCIを実施した時も企業広告はやっていません。それが、「メーカーは商品を通して主張すべき」「売れてこそブランドができる」という当時のミツカンの考え方でした。
 そのため、これまでは商品広告それもテレビCMを中心に展開してきました。しかも、広告予算のほとんどを商品の需要期に合わせてスポットCMに注ぎ込むという極端なメディア戦略をとってきました。
 また、ブランド戦略もこれまでは個別ブランド中心主義で、「追いがつおつゆ」「おむすび山」など個々のブランド名を前面に出したものでした。納豆の「金のつぶ」もそれ自体は認知率の高い商品ですが、ミツカンの商品だと知っている方はあまりいらっしゃらないと思います。
 しかし、事業や商品がかなり多様化したことで個別ブランド戦略には限界が見えてきましたし、海外事業も拡大しています。また、個別ブランド偏重の結果として、最大の資産である「ミツカン」ブランドの活力が弱まってしまいました。コーポレート・ブランド戦略をとるべきだという判断は、こうしたことから生まれています。
 新しいグループビジョンの導入に伴って、VI(ビジュアル・アイデンティティー)の部分を変えました。今までカタカナで「ミツカン」だったロゴを
」とローマ字に変え、「やがて、いのちに変わるもの。」という企業スローガンも新たにつくりました。
食品の安全神話が崩れつつある時代に、ミツカンとしての想いを込め、社員全員に人の命の源である食品に携わる仕事の「誇り」と「責任」を自覚してもらいたいという意味を込めたスローガンです。

テレビCMで耕してから

 メディア選択では、今回のキャンペーンの軸足は新聞広告に置いています。新聞広告を使うことは最初から考えていたことで、信頼性・詳報性の高い新聞はコーポレートブランディングには最も適した媒体であり、ミツカン製品のロイヤル・ユーザーが、やや年齢の高い主婦層に多いということがその理由です。
 今回は新聞広告に加えて30秒のテレビCMも展開していますが、それは企業ロゴがカタカナからローマ字に劇的に変わったので、短期間に認知を上げないと年配のお客さまは戸惑いますし、その後の商品展開もスムーズに行かなくなると判断したからです。
 キャンペーンは8月末、テレビCMからスタートさせました。テレビは即効性がありますから、ロゴを「 」に変えたことをなんとなく聞いたことがある状態をつくって、ある程度耕しておいてから新聞広告を投入した方が効果が上がるという判断です。テレビCMが一巡し、リーチが9割に届いた段階で新聞広告を投入しようということで、今回はテレビCMのオンエアから9日目に第1回目の新聞広告を投入しています。
 また掲載間隔は、新聞広告認知率の逓減が最初の1週間で大きく下がり、2週目はほとんど横ばいになり、3週目から再び緩やかに下がるということを考慮して今回は2週間隔という設定にしました。
 掲載はいずれも日曜日にしました。これは主婦の新聞閲読率は日曜日が最も高いということのほかに、社員に家庭で広告を見てもらい、家族で話し合って欲しいという狙いもあったからです。

生の声の重要性

 キャンペーン効果の検証は現在最終的なまとめを行っているところですが、新聞広告は効果が高いという印象を持っています。新ロゴやスローガンの認知経路を、新聞広告・テレビCM・商品パッケージの3つで比較すると、主婦全体では1.テレビ2.新聞3.商品の順ですが、コアターゲットである40代、50代の主婦では新聞広告からが圧倒的に多い。また、スローガンに込めた想いなど伝えたかったメッセージの理解率は、新聞が1割から2割、テレビを上回りました。
 ミツカンでは、テレビCMについては毎回検証し、その評価にはある基準値(ノーム値)を既に持っていますが、新聞の場合はこれまであまり実施していなかったので独自のベンチマークを持つまでには至っていません。そこで、一番重要な広告注目率の調査は新聞各社に協力してもらいました。広告注目率の取り方は各紙統一されていますから、一定の判断基準には使えました。
 また、広告の好意度も広告効果を測る上では重要な指標ですが、企業広告という極めてまじめで堅い内容にもかかわらず、好意度が通常の商品広告よりも高いという調査結果を得ています。
 広告効果を数字で見ていくことは、社内や社外の関係者に対して説明するときにある程度は必要ですが、数字だけが独り歩きしてしまう危険性もあります。そこで今回も、新聞広告自体で広告に関するご意見・ご感想を求めたり、新聞社の調査で必ず自由回答をとっています。こういったお客さまの生の声を参考に、得られた数字に肉付けをして全体をとらえていくことが大切だと考えているからです。

2004.9.5 朝刊 2004.9.19 朝刊 2004.10.3 朝刊




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