特集 2004.11/vol.7-No.8

企業とスポーツの新しい関係−アテネ五輪とオフィシャルパートナーの取り組み−
ファースト・アドバンテージをどう活用するか

 世界の企業に先駆け、IOCとグローバルスポンサー契約を結んだのがコカ・コーラだ。“マーケティング・カンパニー”と呼ばれるコカ・コーラは、オリンピックをどう企業活動に取り込んでいるのだろうか。
 
 オリンピックのオフィシャルパートナーと一口に言っても、実際の活動は、「グローバル」の考え方があり、次に「ナショナル」の考え方があり、最終的には「ローカル」の活動に落とし込まれます。
 グローバルという意味では、コカ・コーラはオリンピックのTOPパートナーです。1984年のロサンゼルス大会はオリンピックの商業化の始まりと言われますが、別の見方をすれば、経営危機にあったオリンピックを民間企業がスポンサーになることによって復活させるきっかけになった大会です。その時に、いわゆるグローバルスポンサー契約を世界の企業に先駆けて結んだのがコカ・コーラ社です。
 また、オリンピックだけでなくサッカーの FIFAワールドカップも長年サポートしています。その大きな理由は、世界の約200の国・地域でビジネスを展開しているコカ・コーラという会社のスケールが、2つの大会のスケールと一致していることです。さらに、政治や宗教を超えたスポーツの祭典というオリンピック精神は、「いつでも どこでも 誰にでも」というコカ・コーラ社の企業理念ともぴったり一致していることもあります。

オリンピックを積極的にサポート

 「いつでも どこでも 誰にでも」を経営の柱にすえたのは、コカ・コーラのトップを長年務めたゴイズエタですが、オリンピックやワールドカップも見て楽しむだけではなく、プロモーションや広告など、マーケティング的な手法でも人々に楽しんでもらおうというのが、コカ・コーラの基本的な姿勢です。また、自分たちがサポートできることを企画して、IOCやFIFAのエージェンシーに提案もします。権利は与えられるものではなく、開発していくものという考え方がコカ・コーラにはあります。
 マーケティング以外の部分でも、オリンピックに対するサポートを古くから積極的に行っています。すでに1928年のアムステルダム大会ではアメリカの選手団にコカ・コーラを提供しており、以後、オリンピックに参加する全選手や大会役員などに飲料を提供し続けています。身障者のオリンピックである「パラリンピック」、知的発達障害のある人たちの「スペシャルオリンピックス」も、世界的にサポートしています。コカ・コーラでオリンピックを「オリンピックス」と呼んでいるのは、そのためです。

権利を国内でどう活用するか

アクエリアスのテレビCM 「北島選手・オリンピック」編(15秒)より コカ・コーラはアルコール以外のすべての飲料でIOCとグローバル契約しています。そのカテゴリーの中で、オリンピックに関連したマーケティング活動ができる権利を世界中で持っているということですから、「ナショナル」つまり日本国内では、その権利をどう活用していくかということになります。
 すべての飲料が対象ということは、「コカ・コーラ」をはじめ、「爽健美茶」や「ジョージア」など、日本コカ・コーラの幅広い商品が対象になりますが、今回中心にすえたのはスポーツドリンク「アクエリアス」です。水泳の北島選手を使った広告展開を行い、夏場は前年比で200%以上の売り上げを記録しました。
 オリンピック関連で、日本コカ・コーラが行った個々の活動は多岐にわたっています。
 マーケティング活動で言えば、コカ・コーラ社製品を買って賞品を当てる「アテネオリンピック・コーポレート・プロモーション」、容器でオリンピック気分を楽しんでもらう「オリンピックパッケージ」。テレビCMも、TOPスポンサーの権利として、オリンピックに連動した形で有効に展開することができました。また、コンビニエンスストアやスーパーマーケットには、オリンピック関連のプレミアムを個別に開発して、チャネル別のプロモーションを展開しました。
 マーケティング以外の活動では、「聖火リレー」がありました。今回は、過去の夏季オリンピック開催地を中心に36か国をつなぐ形で聖火リレーが行われたのですが、コカ・コーラは、オフィシャルスポンサーの権利のほかに、聖火リレーのランナーを推薦する権利をそのすべての国々で得ています。日本でも、これまでのオリンピックのメダリストだけでなく、一般の人たちからも参加者を募りました。
 また、15歳から22歳の若者を対象に、「コカ・コーラ アテネ特派員」も募集しました。水泳、柔道などを会場で観戦してもらい、リポートをウェブで公開しています。

コカ・コーラ アテネ特派員募集ポスター アテネ2004オリンピック聖火リレー(6月6日朝刊)

企業とスポーツの関係

 こうした活動の成果をすぐ求められることも部署によってはありますが、最終的に期待しているのは企業評価の向上です。これまでもコミュニケーション効果やオフィシャルスポンサーの認知調査は実施してきましたが、消費者、株主、流通、それぞれの立場によって活動に対する判断基準は違うはずです。それをステークホルダー別に見ていこうということです。
 また今回、読売新聞はJOCのオフィシャルペーパーでしたが、メディアがオフィシャルであるメリットは、企画を実施する時にオフィシャル同士なら権利関係を細かくチェックしなくていいという点です。強いて要望を挙げれば、メディアには早い時期からオリンピックのムーブメントを盛り上げて欲しいということがあります。オリンピックに絡めたメッセージの浸透性が高まれば、それだけ早い時期からプロモーションや広告活動に入れるからです。
 アテネオリンピックはメダルラッシュにわき、選手の強化育成が話題になりましたが、実際に選手を育てているのは、各スポーツ連盟・協会です。日本コカ・コーラも日本水泳連盟と競泳日本代表チームのオフィシャルスポンサー契約を結んでいますが、それが選手強化につながり、競技に人々の目を向けさせ、最終的には協賛効果を高めていくことが理想です。企業とスポーツは、そういうウィン・ウィンの関係になることが望ましいと考えています。




マーケティングの範囲が広がったオリンピック
電通 スポーツ事業局スポーツ1部主務 山本知幸氏→


店舗体験とクルーを重視したオリンピック協賛
日本マクドナルド→


栄養摂取の指導を通して日本代表選手をサポート
味の素KK→


オリンピックの最新ニュースを車内中づりで連日速報
富士ゼロックス→


JOCオフィシャル新聞パートナー「読売新聞」の取り組み→
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