今月のデータ 2004.10/vol.7-No.7

生活者の企業観を探る
 企業の不祥事などをきっかけに、CSR(企業の社会的責任)に対する関心が日本でも高まっている。では、一般消費者である生活者は企業をどのように見ているのだろうか。財団法人経済広報センターが実施した「第7回生活者の企業観に関するアンケート」を中心に、生活者の「企業観」を探ってみた。

図1 企業経営において重視すべき対象

重要な関係者、項目とは

 図1は、企業にとって、今後特に重視すべき関係者は何かを三つまで聞いた結果だ。CSR活動ではステークホルダーに注目することが重要だといわれているが、生活者からはどう見えているのだろうか。トップは「最終消費者(エンドユーザー)」で90.0%、次が「従業員」の81.6%、「地域社会」が51.1%と続き、個人株主を含め株主を重視すべきだとする考えは意外に少ない。
 では、具体的に生活者は企業の社会的役割・責任を何に求めているのだろうか(図2)。「非常に重要である」と答えた人が最も多かった項目は「本業に徹する」が84.1%。次に「危機管理」「企業倫理の確立・順守」と続くが、「本業に徹する」とは20ポイント以上の差がある。
 さらに、今後、企業が社会的信頼を維持・向上していくために重要なことを聞いたところ(図3)、やはり1位には、「本業に徹する」(75.5%)が来ている。
 CSR活動の内容は法令順守、情報公開、雇用、環境対応、社会貢献など多岐にわたっているが、生活者は、企業は本業を通して社会的責任や役割を果たすことが最も重要と考えていることが分かる。

図2 企業の社会的役割・責任の重要度(N=3,618)
図3 企業が社会的信頼を維持・向上させるために重要なこと(N=3,618)

改善した企業評価?

 生活者は、企業は社会的責任・役割をどの程度果たしていると思っているのだろうか(図4)。「十分果たしている」「ほぼ十分果たしている」「ある程度果たしている」を合わせると五割を超えており、生活者の評価はそれほど悪いとはいえない。
 しかし、具体的に聞いていくと、事情は少し異なる。企業の情報公開に対しては(図5)、7割以上が「不十分」「どちらかといえば不十分」と回答し、企業の情報発信に不満を持つ人が多いことが分かる。また、不祥事発生時の企業の対応も(図6)、「十分」「ほぼ十分」「ある程度」評価しているのは、合わせて3割に満たない。具体的に尋ねると評価は必ずしも高くない。

図4 企業の社会的役割・責任に対する評価(n=3,608)
図5 企業の情報公開に対する評価(N=3,618)&図6 不祥事発生時の企業の対応(N=3,618)

CSRの認知

 「CSR」という言葉が日本で聞かれるようになったのは2000年からだ。この言葉自体は、生活者にどの程度認知されているのだろうか。読売新聞東京本社広告局で、インターネット調査を実施した(図7)
 その結果は、「言葉の意味まで知っている」と答えた人は7.4%。「見聞きはあるが意味までは知らない」19.9%まで合わせても、CSRの認知は27.3%にとどまる。属性別に見ると男性50代・60代、部長クラスでの認知が比較的高い。
 次に、以前に比べてCSRに関心を持つようになったかどうかを尋ねた結果が図8だ。「とても関心を持つようになった」「やや関心を持つようになった」を合わせると56.8%と半数を超えている。
 今後、CSRという言葉、考え方が生活者に広まるにつれて、企業のCSRへの取り組みがますます注目されるようになってくることが予想される。

図7 CSR認知度 図8 CSR関心度推移
図7 CSR認知度 図8 CSR関心度推移
*表はエクセルデータでご覧になれます。 *表はエクセルデータでご覧になれます。

CSRに関するインターネット調査概要
調査期間 8月13日(金)〜19日(木)
調査対象 アキュトネットのモニターパネル
調査方法 インターネット上でのアンケート調査
回答者数 4,552人(男性2,762人、女性1,790人)
調査企画・設計 読売新聞東京本社広告局マーケティング部
実査・レターヘッド アキュトネット


(高木)

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