特集 2004.1・2/vol.6-No.10・11

新しい年のビジネス環境を考える
「団塊の世代」から発想する2004年のキーワード
 マーケティング発想と技術を磨くためにつくられた実務家の啓発グループ「千代田企画会議」は、新しい年のビジネスと暮らしのキーワードをまとめた文庫本サイズの冊子を毎年、発行している。今年は「2004年の気配と推測 ビジネスと暮らしのキーワード26」と題して昨年末発行された。キーワードは語呂合わせになっていて、「ビジネス分野」のキーワードの頭文字を読んでいくと「いつのまにかマゾのたいしつ」、「暮らしと社会」のキーワードは「せのびせず まよわずにいきる」となる。その「ビジネス分野」のトップ「い」に挙げられているのが「いざさらば、リタイア目前『団塊の世代』」だ。「団塊の世代」は、他のキーワードにも大きく影響している。会議の議長役を務める三田村和彦氏と今回の冊子の編集を担当した江橋圭介氏に話を聞いた。
 
■2004年の気配と推測 ビジネスと暮らしのキーワード26
ビジネス分野
暮らしと社会
→ いざさらば、リタイア目前「団塊の世代」
→ 「作る名人」から「売る名人」そして―
→ 「のろま」の真実、スロービジネスの知性
→ 「真似る」より「真似られる」魅力を開発せよ
→ 日本製(メイド・イン・ジャパン)の神話の翳りに心せよ
→ 考える仕事 考える時間こそ 新・資産
→ まだまだこれから「地方企業」「中小企業」
→ 増収・増益より、むしろ「増人気」
→ 「農耕民族の美学」を改めて経営の原点に
→ 単純(シンプル)な企業組織が強い基盤を再生する
→ 異国の人 異文化 異習慣との協調共存
→ 「心・技・体」が企業経営と企業人の資格
→ 使わない 買わないの「使いこなし需要」
→ 節約は楽しめ ケチにはなるな
→ 飲むな 吸うな 太るな ボケるな 疲れるな
→ 「美」より「健」そして願わくば「知」
→ 背伸びせず、あるがままに肩の荷おろせ
→ 「ズル」するな 瞬時懸命 その積み重ね
→ マイドクター・マイインストラクター・マイ弁護士
→ 汚さず こわさない 捨てず 持ち過ぎない
→ 悪い奴が、普通の顔して近くに来る
→ 頭脳明晰 されど判断幼稚社会
→ 20パーセント弱の別ポケットつき生活設計を
→ 「今まで」は通用せぬ マイ・ライフ設計
→ 教育は、親も一緒に教科書を読むことから
→ ルックスは努力と勉強の足跡がにじみでて決まる


 今回の冊子の「はじめに」にも書いたが、原因があるから結果がある。逆にいうと、世の中に現れている結果や事実をさかのぼっていくと、そのもとになる原因や兆候、きっかけになった現象が見えてくる。この行ったり来たりの思考訓練が思考をシャープにしてくれる。成功する人は、この原因や兆候、兆しをつかむのが早い。そして、それを少し深読みして経験値をミックスさせ、独自の仮説を立てるのがうまい。
 キーワードづくりは、そうやってつかんだ原因や兆候から「来年はどうなるか」という仮説を立てる作業だ。会議は月2回開かれ、毎年、8月には次の年のキーワード探しの作業に入る。今回の議論では、少子高齢化もテーマに挙がったが、世間でいわれている議論にスッポリ抜け落ちているのが、それと団塊の世代との関係という視点だった。

2004年と1949年の日本の人口ピラミッド
2004年と1949年の日本の人口ピラミッド
2004年の年齢別人口
2004年の年齢別人口

「正規の職員・従業員」および「非正規の職員・従業員」の推移

団塊の世代のリタイア

 昭和22年から24年生まれを「団塊の世代」というが、この3年間に生まれた彼らの人口は、800万人強。最近3年間の出生数は約350万人に過ぎないから、彼らがいかに大きな集団であるかわかる。団塊の世代については、これまでも多くのことが語られてきた。それは、彼らが常に日本の高度経済成長を支える消費のリーダーと目されてきたからだが、その世代最後の昭和24年生まれが今年、全員55歳を迎える。55歳役職(管理職)定年制を導入している企業では、団塊の世代すべてがその対象枠に入る。言い換えれば、企業は間もなく、マネジメントの中核を大量に失うということだ。
 最近の企業は非社員率、つまり派遣社員やパートタイムが30%を超えるところがあり、しかも、非社員率の高いところほど業績がいい。これは、ある派遣会社の話だから多少割り引いて見る必要があるが、今の企業はマネジメントやプランニングまで非社員頼みになりつつあることは確かだ。
 また、これから労働力人口は確実に減っていく。その中で今の生産性を維持していくためには、外国人労働者も受け入れざるを得なくなっていくだろう。会社の中にいろいろな人たちが入ってくる。宗教も違えば、食事も違う。どんなことが会社の中で起こるか。人口統計データから見れば、それが何年か後には現実化することはわかりきったことなのに、これまでだれもその点には触れてこなかった。
 「2004年の気配と推測」でトップに取り上げた団塊の世代のリタイアには、そういう背景がある。団塊の世代は、今の日本の企業で、経営陣に一番近いところにいる管理職だ。10代のころ「グループサウンズ世代」と言われ、10代後半には「全共闘世代」と呼ばれ、その後「フォーク世代」とも呼ばれた仲間の多い世代だ。
 人数が多く、また働き盛りであるが故に、ここ何年間かのリストラの波を受けてきた「やや疲れた働きバチ」と言うこともできる。しかし、その先頭は2007年には定年で企業を去る。その後も3年ほどで800万人以上が一線から離れる。
 これには2つの意味がある。1つは、企業はマネジメントの中核から一気に人材を失うことであり、もう1つは、以前から言われている新しい高齢者マーケットの出現が目前に迫っているということだ。


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