特集 2003.12/vol.6-No.9

ブランディングとメディア戦略
広告はブランドをつくる旗印
 
営業に本気を伝える広告

――今までも集中的に新聞広告を掲載することが多いように思うのですが、連続出稿にこだわる理由というのは?
 ここまで大がかりなのは初めてですが、今までも2000年秋に、ペット共生型住宅「ヘーベルハウス プラスわん・プラスにゃん」を5段で6日間連続、昨年の夏にも中庭を「空の間」として生活空間に取り込む「ヘーベルハウス そらから」を7段で6日間連続やっています。
 「プラスわん・プラスにゃん」は連続掲載の効果を知りたくて意図的にやった広告です。当時はペット共生型住宅というテーマが新しかったこともあり、非常に注目度が高かった。
 それに気をよくして「そらから」でも7段を6本連続掲載して、大口のオーダーがあった。それで、連続掲載もテーマや時期によっては方法論の一つだという感触を得た。

――それが今年4月の15段8日間連続掲載につながる。
 それまでとは予算規模も違いますが、「ロングライフ住宅」は、われわれにとってそれくらい大事な戦略だからです。
 もう一つは、「ロングライフ住宅」に対する認識を、お客さまも社内も、いい意味で金太郎飴にしたいというのが理由です。社員のだれを捕まえてもロングライフ住宅について同じようにお客さまに感動を与えられる。もっと言えば、ユーザーの立場にたって、ロングライフの意味をきちんと伝えられる。それが理想です。会社もだいぶ規模が大きくなって、営業マンだけで全国に1300人以上います。彼らに会社は本気だということを伝える意味も、15段8日連続掲載にはありました。

深い理念を伝えるには新聞

――テレビコマーシャルを、という声は社内にはなかったのですか。
 予算があれば、テレビとミックスしてやりたかったですね。ただ、「ロングライフ住宅」というのは簡単には伝わらない考え方ですから、新聞の方が向いています。今回のように、かなり深い理念に共感して感動してもらいたいとなってくると、これは完全に紙の媒体でなければ伝えられません。
 テーマやねらいなどにもよりますが、限られた予算の中では、今回はメディアミックスを優先するよりも、ある量の広告を一つの媒体にまとめて投下した方がいいという判断をしたということです。ただ、おっしゃるように特に営業の一線の人たちには、テレビコマーシャルに対する期待が強いと思います。なんとなくテレビの方が目立つし、面白いことをやればそれだけで展示場で話題になるという意見がある。それはそれでわからないわけではないけれど、本質的に大事なことではないと思いますね。

――営業としては、展示場に来てさえもらえれば、後は売る自信があるということでしょうか。
 でも家ですから、展示場への集客効果は広告ではそれほど期待できません。展示場に来たお客さまが、ヘーベルハウスに入るかどうかというきっかけにはなると思いますが、莫大な予算をかけてマス広告をやらなくても、ヘーベルハウスに注目してもらう手段は現場レベルでもたくさんあります。

――展示場では象がヘーベルハウスの目印になっていますね。
 象を屋上に載せた広告キャンペーンを初めてやったのは今から10年前。最後にやったもので、もう8年前ですが、今でも展示場では使っていて、それなりの集客効果を上げているようですね。

フリークエンシーを重視して

――4月に8回、10月には6回連続出稿されたわけですが、掲載回数には何か根拠があった。
2003.4.21朝刊から8日連続で掲載されたシリーズ広告の第一弾
 広告効果という意味から決めた回数ではありません。むしろ、言いたいことがそれだけあったというのが理由です。「ロングライフ住宅基準」は29項目あるわけですが、そのままでは説明しにくい。営業がお客さまに「ロングライフ住宅基準」を説明する入り口としてどこから入っていくのが効果的か、また営業も勉強をする気になり、社内の意思統一もしやすいという観点から項目を絞っていくと、だいたいこのくらいになる。それを連続でやろうという決断をしただけです。

――連続出稿するとリーチが広がりますし、また同じ読者に何度も届けることができる。どちらを目的にしたのでしょうか。
 「ロングライフ住宅」の考え方を深く知ってもらいたいという意味で、今回はリーチよりは同じ読者に届くフリークエンシーが重要でした。

――10月の出稿は金曜、土曜日の2日間、3週連続の掲載でしたが。
 今回はかなりインパクトのあるクリエイティブ表現ができたので、6日間連続で出してしまうよりは、週末に2本ずつ出せば営業活動としては3週間引っ張れるという発想です。また、なぜ木金ではなく金土にしたかというと、当社の営業は定休が火水だからという理由です。木曜日に毎週朝礼がある。そこであす、あさって出る広告について営業に説明して、おさらいしておいてもらおうというねらいです。週末までには勉強もできるし、お客さまにあすの新聞を見て来てくださいという呼びかけの電話もできる。そういう意味あいです。

リアリティーのある広告表現へ

――そういうお話を伺うと、広告だけではブランドは作れないと言われましたが、広告が要にはなっているという感じを受けます。
 要というか、みんなにとってわかりやすい旗印であり、きっかけづくりですね。広告としてわかりやすく、インパクトがあり、共感や感動が得られることはもちろん大事ですが、勝負は、それを道具として使って、いかに営業の現場がお客さまに感動を与えられるかです。そういうことまで理解してクリエイティブ表現をすることはとても大切です。そう考えると、クリエイティブスタッフの存在も重要です。
 実はクリエイティブは、ずっと同じスタッフにやってもらっています。表現する力はもちろんですが、ヘーベルハウスという製品を、たぶん社員と同じくらい深く理解しているし、愛している。そういう意味で、こちらも下手なオリエンテーションはできないところがありますね。逆に、こちらがきちんとしたオリエンをすれば、表現に関しては間違いなく一流のものを出してくれる。彼らの存在は貴重です。

――10月のシリーズが始まったときに、前回より表現が力強く、具体的になったと感じたのですが。

 確かに4月の時は、「基準」という具体的なようでいて、その実わかりにくいものを一方的に言ってもコミュニケーションにならないだろうということがあって、本という形で伝えていった。
 今回は、より具体的に、事実を事実としてお客さまに伝えることを目的にした。「ロングライフ住宅」も言葉だけなら簡単に言えることですが、創業以来30年あまり積み上げてきた事実の集積があって、リアリティーのある広告表現ができたと思っています。


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