特集 2003.7・8/vol.6-No.4・5

広告にとってデータとは何か
新聞広告に求められるデータとは何か
 
 新聞各社は、これまで広告主の要望に応える形で、閲読率調査、面別接触率調査、広告注目率調査などを実施し、データの整備に努めてきた。また、新聞協会を中心に指標の取り方の共通化も進められてきた。「J-READ」のように第三者機関の調査も始まっている。しかし、広告主から、新聞にデータを求める声はいまだに根強い。そこで今回は、「広告主の求めるデータとは何か」を改めて探ってみた。
 その結果見えてきたものは、多メディア化の中で広告の置かれている状況が変わり、求められるデータが今までとは変わってきたのではないかということだ。
 アサヒビール酒類事業本部宣伝部副部長の山本泰利氏は、インタビューの中で、「いまは情報がはんらんして、かなりとがったニュースでないと広告が効きにくくなっている。マーケットの置かれている状況も、お客さまの情報に対する関心の持ち方も違ってきている」と話している。
 こうした状況は各メディアの広告効果を確認したいという要望にもつながる。「データにもアカウンタビリティーが求められている。テレビの視聴率と同じように、掲載した新聞広告がどれだけ見られたかに答えてくれるのは大事なことだ」というのは、キャノン販売宣伝計画部 メディアプランニンググループ課長の細田悦弘氏の指摘だ。
 また、単にマスメディアに広告を出せば情報が確実に人々に伝わる時代ではなくなり、どう伝えれば効率よく伝わるのかというところにも、広告主の関心は移ってきている。同じ新聞広告を使うにしても、どうすればより効率よく伝わるかということだ。
 これまでの広告は、人々に届けば一定の割合で見てもらえた。その指標がリーチであり、フリークエンシーだった。フリークエンシーは新聞広告にはあまりなじみはないが、テレビのように記憶してもらって売り場でその商品を思い出してもらうことで購買を喚起する想起効果をねらった広告には重要な指標だ。
 問題は、東海大学の水島久光助教授が指摘しているように、「生活の中にメディアが増え過ぎて、メディアに対する意欲が減退しているところがある」「1つ1つのメディアに接触する濃度は確実に薄くなっている」ということだ。メディアの到達データも基本的なデータとしては必要だが、多メディア化でもたらされた情報接触の“薄さ”をどう乗り越えるか。伝えたい情報をターゲットとする人々にどう効率よく伝えていくか。そのためのデータが欲しいというのが広告主の要望でもあった。
 では、そのデータとは何か。今回インタビューした方々に共通する指摘は、メディアの接触状況を知るということだ。
「メディアの接触状況が変わってきている中、新聞にも読者がどう接しているかというデータが重要になる」(アサヒビール 山本氏)
「朝、新聞で広告を見せて、通勤の電車では、交通広告や雑誌を読むだろうと予測して、そこにも広告を掲載する。そこまで考えてメディアミックスをやっていかないといけない」(キヤノン販売 細田氏)
「人間がどういう社会生活を送っているか、環境とどう接しているかというコンテクスト(文脈)の中でしか、その人の性格は表に出てこない。(中略)そういう観点で、それぞれのメディアと人々がどういう態度で接しているかという情報が、今後は特に必要になってくる」(東海大学 水島氏)
 人々の新聞広告に対する接し方を改めて見直すことで、新たな新聞広告の活用の仕方も見えてくるかもしれない。




広告の役割の変化に応えるデータを
アサヒビール 山本泰利氏→


新しいメディアミックスに挑戦するために
キヤノン販売 細田悦弘氏→


多メディア化と態度情報の重要性 東海大学 水島久光氏→
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