特集 2003.6/vol.6-No.3

デジタル入稿と広告のクオリティー
読売新聞は七月から広告原稿を原則デジタルで受け付けます

 読売新聞社では現在、デジタル時代の新聞制作システム、CTP(Computer to plate)化を進めています。CTPは紙面データを直接刷版するデジタル時代の印刷システムです。このCTP化に伴い読売新聞は、7月1日から広告原稿も原則として、デジタルで受け付けることになりました。
 
 新聞の制作・印刷技術は鉛の活字、凸版輪転機からCTS、そして今回のCTP化、高速オフセット輪転機による印刷まで、さまざまな技術革新を遂げながら進化してきました。現在の新聞印刷は一般のオフセット印刷と同じで、フィルムを起こしてから刷版を作成し、印刷しています。CTPはフィルム製版の工程を省き、紙面データから直接刷版を作成するシステムで、原稿の劣化を防ぎ、制作工程を大幅に短縮し、新鮮な情報をスピーディーに読者に届けることができます。
 読売新聞は全国の朝刊で日々約40ページ、1000万部を超える新聞を印刷していますが、CTP化は全国に26ある印刷工場で輪転機改修と合わせて順次進められています。これによりカラー面が16個面に拡大します。
 このCTP化に伴い、読売新聞では7月1日から広告原稿の入稿も原則として、デジタル(MOディスク、もしくはオンライン)で受け付けることになりました。
 カラー原稿の場合、現在フィルムで入稿されている広告原稿は工場の数だけ複版し、原稿に添付していただいていた平台校正ゲラ(念校)とともに各工場に送っています。今後は、入稿された広告原稿データは「広告データ管理システム」を介してオンラインで各工場に送信、入稿から掲載までの工程が大幅に短縮されます。また、同一原稿でも東京・大阪・西部の3本社分、3セットのフィルムと126枚の念校ゲラを添付していただいていましたが、すべて不要になり、原稿締め切り時間も大幅に繰り下げられます。
 さらに今回のデジタル化に合わせ、解像度をアップしました。網点をシャープにすることによって、入稿された原稿はイメージが損なわれることなく再現されます。デジタルで入稿された原稿は、刷り上がりの色を想定したカラープルーフをもとに、印刷時のカラーの調整を行います。カラープロファイルを公開し、カラーマネジメントしやすいサポート体制を整えます。
 また、デジタル入稿が定着するまでの間、データのチェックや制作の相談に無料で応じる「デジタル入稿相談窓口」も設けています。

カラー広告の入稿から印刷まで
デジタル入稿で変わること

[フィルム、念校が不要に]
 これまでカラー広告の場合はフィルムと念校ゲラ、モノクロ広告の場合は紙焼きと念校ゲラが必要でしたが、今後はこれらが一切不要になり、原稿データ(EPS)と掲載情報を記入した念校データ(PDF)での入稿になります。また入稿は、MOディスク、またはオンラインで受け付けます。

[締め切りが大幅に繰り下げに]
 原稿締め切りは、カラー広告がこれまで掲載日の1週間前だったものが2日前の午前10時までになります。モノクロ広告は従来通り1日前の正午までです。

[カラープルーフの出力]
 新聞社の広告制作部から実際の新聞印刷に近いカラープルーフを念校ゲラとして出力します。要望があればカラープルーフは5枚まで無料で広告会社にお渡しいたします。

[印刷品質を向上]
 ダイレクト刷版により、フィルムから刷版へという工程による原稿の劣化がなくなります。同時に、681dpiだった解像度を1200dpiに向上させ、より再現力の高い印刷を可能にします。

 カラー印刷では、新聞ジャパンカラーを視野に入れた厳しい基準の読売仕様カラープロファイル(ICCプロファイル)を公開し、より原稿に忠実な色の再現に努めます。ICCプロファイルは、輪転機の印刷特性を数値化したデータで、カラープルーフをより実際の印刷に近いものにすることができます。ただし、周知のようにプルーフを出力する機種や条件などによって特性が違いますが、ICCプロファイルを用い、こうした環境を整えることにより、誤差の少ないプルーフの出力が可能になります。
 輪転機で印刷された色は乾燥するまで時間と共に色が変わります。印刷してすぐ家庭に届けられる新聞は、刷り出しの色と家庭に届いた時の色は同じではありません。読売新聞では、家庭に届いたときベストの印刷状態で新聞広告を見てもらえるよう、輪転機の刷り出し五分後から家庭に配達されるまでのカラー紙面の色の変化の測定を行い、印刷の際の色調整に反映させています。さらに、デジタル入稿に合わせ、あらゆる角度から印刷品質の向上に取り組んでいます。

1200dpiによる印刷品質の向上

1200dpi高品質化イメージ図
 解像度は画像のクオリティーや情報量を表す基準のことで、一般には解像度が高いほど画像はきめ細かく表現できます。画像を構成する点(ドット)の密度を表す単位がdpi(ドット・パー・インチ)です。読売新聞のフィルム出力の解像度はこれまで681dpiでしたが、CTP(直接刷版作成システム)への移行に併せて、解像度を1200dpiに向上させます。
 解像度を上げるとデータ量は2乗で増え、短時間での紙面制作が必要な新聞にとっては大きな負荷になりますが、デジタル入稿された広告原稿のクオリティーを可能な限り再現したいという考えから、読売新聞では新聞各社の中でも最も高い1200dpiの採用に踏み切りました。
 図は従来の681dpiと今回の1200dpiの解像度を図解したものです。印刷では画像は網点で表現されます。65線、80線、100線と、網点は線数が大きくなるほど細かくなります。デジタル処理ではこの1つの網点を細かなドットで描きます。解像度が高ければ、1つの網点をつくるドット数は多くなり、より滑らかな網点が描けます。1200dpiで100線の網点を再現する場合、1つの網点に12×12ドットが割り当てられますから、網点1つを144個のドットで再現することができます。別の言い方をすれば、網点1つをドット0個から144個までで表現できることになります。これが階調数です。したがって、145階調を確保できることになります。人間の目が識別できる階調数は100階調程度といわれており、これも1200dpiを採用した大きな理由です。
 読売新聞では高解像度化をカラー広告から順次すすめます。また、カラー広告の網点の線数も従来の80線から106線にアップします。商業印刷の解像度・線数はさらに高解像度・高線数が使われています。しかし、毎秒20枚という高速輪転機で印刷する新聞の場合、ドットゲインが大きくなり、網点がつぶれてしまいます。今回のカラー広告1200dpi・106線は、現在の新聞印刷技術で最も高品質の印刷を目指したものです。




広告の品質を向上させるデジタル
積水ハウス 福田和幸氏→


デジタル時代の画像処理とは
マゴ・デザイン 福田昭夫氏→
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