特集 2000.05/vol.3-No.2

「家」の時代
家を守るから人を守るへ
 家をターゲットにしたオンラインサービスにいち早く取り組んでいる業界に、警備保障会社がある。防犯や火災、ガス漏れセンサーを取り付け、オンラインで集中管理するホームセキュリティーサービスは16年前ごろから始められている。
 最近のホームセキュリティーシステムは、「安心」だけではなく、「便利に、快適に」という方向に向かっている。ホームバンキングや通信販売、医療相談など、さまざまな生活関連サービスが受けられる。現在、ホームセキュリティーを利用する家庭は、全国で推定で20万世帯弱に達しているという。
安心から便利・快適

 綜合警備保障が98年4月から取り扱いを始めたのが「SOKホームセキュリティ」だ。端末に大型の液晶タッチパネルを備え、防犯、防災機能に加えて通信販売による買い物やホームバンキング、24時間の無料健康医療相談ができるようになっている。また、オプションで「救急ペンダント」があり、両サイドのボタンを握ればトイレなどで倒れたときもガードマンを呼べる。無線でホームセキュリティー本体に送信され、そこから電話回線で監視センターにつながるからだ。かかりつけの病院、既往症のデータなどがメモリーに記憶され、液晶画面に呼び出すことができるので、駆けつけた救急隊も応急処置やその後の対応が迅速にできる。

通信と人のインフラを活用

SOKホームセキュリティ 警備保障会社がホームセキュリティーに力を入れ始めた背景には、独自に構築したインフラの活用がある。最近の大手警備保障会社はビルなどへの常駐警備より機械警備がメーンになっている。綜合警備保障では、電話回線と衛星回線を駆使したネットワークと24時間出動可能なガードマンが全国約千か所に配置されている。この通信インフラと人的インフラの二つを活用し、潜在的な巨大市場である家庭・個人への浸透を図ることがホームセキュリティーにも重点を置く理由になっている。
 竹内知比古・広報室広告宣伝課課長代理は「当社は圧倒的に企業向け警備が多く、またそういうイメージが強い。家庭向けもありますよというイメージの浸透を図っている段階」という。
 その第一段が初めに紹介した家庭用の「SOKホームセキュリティ」で、同商品を主力としたセキュリティーサービスは、すでに2万6000世帯で利用されている。しかし、セキュリティー以外の付加価値として盛り込んだ生活関連サービスは、思ったほど利用されていないという。「家電にいろいろな機能がついてくるなど予測を上回るスピードで社会が動いている。携帯電話からもインターネットにつながるようになってサービスが重なってきてしまっている」
 ドッグイヤーといわれるほど情報・通信関係の変化は速い。医療、介護、通販などネットワークを使った家庭サービスが数多く現れようとしているが、先行する業界ゆえの悩みなのかもしれない。「今の利用状況を見ると圧倒的にセキュリティーのニーズが高い。付加価値の部分については、健康医療相談を除くとたまに使うレベルにとどまっています」
 綜合警備保障では、昨年10月から緊急通報をメーンにした家庭用警備システム「SOKホームセキュリティSタイプ」の販売を新たに開始した。従来のシステムは月額7500円からだが、このシステムは月額4500円から利用できる。オンラインバンキングなど一部の生活関連サービスや空き巣対策の防犯センサーを省いたものだ。急病時に対応する「救急サービス」、または不審者やストーカー被害に備える「非常サービス」に機能を絞り込んだ。いずれも加入者がボタンを押して綜合警備保障の監視センターに通報するという仕組みをとっている。火災検知などもオプション装備できるが、人的インフラの活用に絞り込んだサービスだ。
 「お年寄りが救急の場合にという利用が一番多い。多機能化しないでシンプルな方が、お年寄りは分かりやすいということだと思います。また、都心部になるほど一人暮らしの人が多くなっていますが、一人暮らしの女性にも利用してもらえるサービスだと考えています」
 登場当初、ホームセキュリティーは「家をシステムで守る」という発想から生まれた。それによって一般家庭でも“安全”というサービスを受けられるようになった。しかし、この間の情報機器、ネットワークの発達で、警備は「人が人を守る」という原点に立ち返ってきたように見える。

警備と介護の連携

ガードセンター 綜合警備保障が進めているサービスに、この2月からニチイ学館と提携した「在宅介護サービス」がある。
 警備と介護はにわかには結びつかないが、「介護に行けない時間帯をどうカバーしていくかが、実は介護サービスにとって重要なのです、24時間、365日、何かあった場合にだれかが駆けつけなければならない。介護は社会性を持った仕事という意味で警備業に通じるものがある」と、竹内氏は提携の背景を説明する。
 介護サービス会社のコールセンターに夜中に「具合が悪いので、来て下さい」と電話がかかってきても対応できない場合がある。そういう時に24時間待機の警備会社の隊員ならすぐに駆けつけられる。しかも、綜合警備保障の場合、駆けつけるガードマンの約80%は上級救命講習などを受けている。
 ホームセキュリティーのシステムはセンサー管理のシステムととらえられがちだが、「いつでも呼べる」システムでもある。
 「介護を受けている人でも、警備とセットになっていたら、より安心だと思います。逆に、私どもが警備システムを付けたお客様で家族の中に介護が必要な人がいれば、ニチイ学館に紹介する。そういう二人三脚でいければいいと考えています」
 今後は、コールセンターを共同で構築できないかという構想もあるという。「コールセンターが共同になれば、介護スタッフが行った方がいいというケースであれば介護の人に連絡しますし、そういう余裕がない時は私どもの隊員を先に行かせるという対応も柔軟にできます」
 綜合警備保障では、警備を核としたビジネスを展開していくことが、家庭を対象としたサービスでも基本になる。「当社ではいま約1万4000人の人的ネットワークを持っていますが、今後はこれをいかに有効活用するか。そういう時代に入ってきたと思います」(了)



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