特集 2000.05/vol.3-No.2

「家」の時代
「家を買う」から「建て替える」まで
 この4月1日、インターネットを使った住宅販売が開始された。積水化学工業の「M1@heim(エムワン・アットマークハイム)」がそれだ。同社が手がける125平方メートル以下の商品で、価格は1500万円から2000万円。第一次取得層をターゲットに開発されたネット販売専用の新商品だ。住宅契約者や入居者のための専用サイトも作り、打ち合わせや工事の進捗(しんちょく)状況、入居後のアフターサービス、さらには生活関連サービスの提供もネットを通して行われる予定だ。
住宅をネットで売る

新聞広告 発売前日の新聞広告とバナー広告だけで、ホームページへのアクセスは10日間で11万5000ページビュー。これはサーチエンジンに登録されていない段階での数字だ。
 しかし、住宅をネットで売るとはどういうことだろうか。ネット販売専用の住宅という点に疑問を解くカギがある。
 セキスイマーケティングセンターの東京制作部荻野元宏係長は、「一昨年ごろから積水化学工業の住宅特性を原点に戻ってアピールしようという方針があった。それとは別にお客様とのCS(顧客満足)をどうやっていくかという課題があり、検討していく中でインターネットがその解決策として挙がっていた。そこにネット販売専用住宅の話が立ち上がった」と語る。
 販売チャネルであり、双方向のメディアであるというインターネットの特性が、課題や戦略を一つにまとめた。
 積水化学工業の住宅特性は、品質管理を徹底させたユニット工法にある。工場生産なので品質のよいものをより安く、しかも「お客様がいちいち施工現場に行ってチェックしなくても安定した品質のものが届けられる」。
 さらに、企業のブランド力が現物を見ないでインターネットで家を買うことへの不安感を払拭する。

販売ルートも独自に構築

 商品説明はすべてネットで行う。通常つきものの紙のパンフレットは作らない。「M1@heim」は、これまでの住宅の売り方を一から見直している。徹底してインターネットでの販売にこだわる。
 それを最も端的に表しているのが営業方法で、既存の販売ルートは使っていない。積水化学工業の場合、販売ブロックはほぼ県単位で設定している。従来の商品では7、80人が担当しているが、「M1@heim」専任の営業スタッフは各ブロック一人。「これまでは展示場に行くと、営業スタッフが家を訪ねて資料を大量に渡した。M1@heimでは、営業スタッフが直接お客様のお宅に行くことは絶対にしない」。建築予定地の測量と契約以外は、すべてメールでやり取りするのが基本方針だ。商品が見たい場合は「お客様にショールームに来ていただく。会う必要がある場合も、必ずショールームで会うことにしています」。
 価格は、(1)太陽光発電システム3.1キロワットを標準搭載(2)高気密・高断熱仕様(3)ホルムアルデヒド濃度の全邸測定という特徴を備えて、既存の商品より10%は安くしている。

やり取りは専用サイトで

ホームページ01

ホームページ02

@heimのホームページはhttp://www.atmarkheim.com/


 「M1@heim」では販売専用のホームページと顧客のコミュニティーやCSのためのホームページを分けている。後者がHarmonate-town.com(ハーモネートタウンコム)で、今期中には立ち上げる予定だという。
 専任スタッフとの打ち合わせや工事の進捗状況の報告など顧客とのやり取りは、Harmonate-town.com内に一邸ごとに設けられた専用サイトで行う。入居後のアフターサービスも同様だ。「お客様との折衝段階から入居後のメンテナンスまで全部履歴が残っていく。お客様とのコミュニケーションは対面よりスムーズになると思っています」
 若い世代の人口が減り、新築・建て替え需要をどうつかまえるかが、住宅業界の課題になってきているが、専用サイトの立ち上げにはこのような課題を解決するねらいもある。
 また、同一メーカーの建て替えは家のメンテナンスやリサイクルもしやすくするし、新たに立法化された住宅品質確保促進法、いわゆる10年保証の制度にも対応しやすくなる。「ユニット工法だから特にそうなのですが、躯体(くたい)に関してはほぼリユースが可能」だという。
 Harmonate-town.comでは、このほか入居者同士や検討客が入居者の声を聞けるコミュニティー広場の開設、三和銀行、NEC、セコム、凸版印刷などとの共同プロジェクトでEC(電子商取引)の展開もめざしていく。
 「ネット販売で2000万円の商品」というところに興味はいきがちだが、「M1@heim」は入居後の生活や建て替え需要までを含めた「顧客囲い込み」、家ごと囲い込む試みでもある。
 アフターサービスなど顧客満足のために、過去にもCS放送が検討され、テレビ電話を入居者に配る試みがなされてきた。それが、インターネットというツールを得ることによって方向性を得て、顧客とのコミュニケーションや商品の販売方法、リサイクルまでを含めた大きな変革となって動き始めている。



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