特集 2000.03/vol.2-No.12

動き始めたeコマース  米国の長期の経済成長はeコマース(電子商取引)の恩恵であることは衆目の一致するところだ。日本にも、その「ドットコムブーム」が起ころうとしている。コンビニを中核としたeコマース、大企業の本格参入、日本型EC。さまざまなとらえ方をされている最近のeコマースの現状をセブン-イレブン・ジャパン、ローソン、三井物産の取材を通して追ってみた。
 
 日本のeコマース(電子商取引)の成長の核として、コンビニエンスストアがにわかに脚光を浴びている。
 1月6日に最大手のセブン-イレブンがソニーやNEC、三井物産など七社と提携してeコマースのための新会社「セブンドリーム・ドットコム」の設立を発表。これを追うように1月13日にはファミリーマートなどコンビニ5社が、昨年末の交渉開始からわずか1か月で「5社連合」のeコマース新会社を4月に設立すると発表した。
 セブン-イレブンなどの「8社連合」、三菱商事と資本・業務提携したローソン、伊藤忠傘下のファミリーマートやサークルケイなどが組んだ「5社連合」と、今年に入ってeコマースによる業界の色分けも一気に進んだ。

マル

 コンビニ各社が中心になって進めている今回の動きは「日本型EC」としても注目を集めている。日本でもここ1、2年でECサイトが急増しブームになっているが、肝心の決済や受け渡しは各社各様。ネット上でクレジットカードの番号を送信するよりも、代引きや現金振り込みを選択する人が多い。また、宅配も不在率の高さがネックになっている。
 生活のインフラとして日本に根付いたコンビニを決済と受け渡しの拠点にすることが、日本のeコマース発展の突破口になるという期待は大きい。

マル

 昨年は「ベンチャーEC元年」、今年は「大企業EC元年」といわれる。これまでネットビジネスには一定の距離を置いてきた大企業がeコマースに本格的に乗り出してきた。
 米国のeコマース、ネット革命は第3期に突入したと言われている。第1期がアマゾン・ドットコムなどのネット・ベンチャーがリードした時代、第2期がGEやメリルリンチなど従来からの大企業がネットに流れ込んだ時代、そしてAOLとタイム・ワーナーの対等合併に象徴されるように、サイバー企業とリアル企業の融合が加速するのが第3期という見方だ。
 コンビニをめぐる動きや最近の企業の動きを見ると、日本はネット革命の第二期といえるだろう。今回の特集の取材中にも「プレイステーション・ドットコム・ジャパン」「ソニー銀行」「ヨーカ堂銀行」など、EC市場をにらんだ大手企業による新会社設立のニュースが次々に発表された。
 eコマースの発達は売り手と買い手の距離を短くし、それまでの中間業者を排除すると言われている。インターミディエート=中抜きといわれる現象だが、リアルな世界で成功をおさめてきた大手企業にはそうした中間的な仕事をする部署や事業が少なからずある。大手企業がいよいよ死活をかけてeコマースに真剣に乗り出してきた背景にはこのような事情もある。米国を中心にeコマースが進展し、ビジネスに本質的な変化が起こり始めたという認識が大企業に生まれてきた。

マル

 店舗数の増加でコンビニ本部の売り上げは毎年伸びているが、消費の低迷と競争激化で既存店の売上高は伸び悩んでいる。今回の特集ではセブン-イレブン・ジャパン、ローソンの二本部を取材したが、口をそろえてeコマースへの取り組みは店舗の集客力アップのためであり、ネット上につくられる仮想店舗と実際の店舗は別であることを強調していた。
 コンビニ各店には決済や受け渡しの手数料が入り、仮想店舗を運営する組織にはその売り上げが計上される。また、新たな客層の掘り起こしにもつながる。こうした試みが日本のeコマースを拡大し、また景気浮揚の起爆剤となるのか。具体的な挑戦は始まったばかりだ。
図1
図2
図3
図4
●昨年は、ソフトバンクとセブン-イレブン・ジャパンを中心にセブン-イレブン店舗で受け取り・支払いができる書籍サイト「イー・ショッピング・ブックス」や自動車仲介サイト「カーポイント」などがつくられた。「セブンドリーム・ドットコム」設立後も、こうした資本提携は維持される。

●ファミリーマート、サークルケイ・ジャパン、スリーエフ、サンクスアンドアソシエイツ、ミニストップの5社連合は1月14日に「e-ビジネス協議会」を設立し、eコマースに関連する共同研究、共同事業運営の「新会社」設立を目的とする活動を開始している。新会社は4月に設立される予定。

●「e-コンビニエンス」は、スピードグループ(東京・中央区)が50%を出資するインターネットスーパー。4月からインターネットで生鮮・加工食品、介護用品など約4,000品目の商品を宅配する「ネットスーパー事業」などを展開する。



「日本型EC」の成功をめざしてヘ
セブンドリーム・ドットコム→


eコマースの先駆け「ロッピー」ヘ
ローソン→


総合商社のネット事業戦略ヘ
三井物産→
もどる